「遺言執行者」というのは、亡くなった人の遺言の内容を、ほかの遺族に代わって実現化していく役割の人です。遺言執行者は遺言書により指名されます。弁護士、司法書士、行政書士など、法律の専門家が就任する場合もありますが、親族のなかから指名されるケースもあります。そこで今回は、親族の遺言執行者を引き受けた際の注意点と対策をお伝えします。
①遺言執行者の役割
遺言執行者の業務は煩雑な手続きを伴い、遺言執行者にはとても重要な責任が課されます。ちなみに、遺言執行者の指定がない場合は、相続人全員でそれらの手続きをしていくことになります。
遺言執行者の具体的な役割には、以下のようなものがあります。
・死亡届や葬儀の手配
・相続人の調査
・相続財産の調査および相続財産目録の作成
・金融機関の手続き
・相続財産の名義変更手続き
これらのなかには専門的な知識を必要とするものもあります。普通の方にとっては、これらの手続きは初めてのものも多く、ひとつひとつの業務をとても難しく感じるはずです。
また、金融機関の窓口や役所は平日の日中しか対応してくれないので、仕事をもった人が執行者を務めることはかなり困難なものです。だからといって、途中で投げ出したり先延ばしにすることも許されません。
②遺言執行者を辞任することはできるか
実際、手続きを始めてみたものの、とても自分一人ではできそうになく、途方に暮れてしまったという話をよく耳にします。このような場合に、執行者を辞任することは可能でしょうか。
1.遺言執行者を辞退することは難しい
結論からいえば、遺言執行者を一旦引き受けてしまえば、「やむを得ない事情」が認められる以外は、辞任することは困難です。たとえば「仕事が忙しい」という理由は認められません。
2.難しければ、はじめから引き受けるべきではない
そもそも、遺言書で遺言執行者に指定されていても、強制力はありません。自分には荷が重すぎると感じるのであれば、はじめから就任を承諾しなければいいのです。特別な理由も必要ありません。早めに就任しないことを相続人や利害関係者に伝えれば問題ありません。
つまり、最初から遺言執行者を引き受けないことはできるが、一旦引き受けると辞任することは難しいのです。
③辞任はできないが委任ならできる
遺言執行者を辞任することは正当な事由がなければ難しいと解説しましたが、遺言執行者としての職務を第三者に「委任」することは認められています。
遺言執行者の委任については、2019年7月1日の民法改正により、それ以前と以降で扱いが大きく扱いが変わりました。
1.民法改正以前
亡くなった方が残した遺言が2019年6月30日以前の作成日付である場合は、遺言執行の職務の委任は「やむを得ない事情がある」場合と、遺言書に遺言執行者の復任権を認める記述がある場合に限定されていました。
ちなみに「やむを得ない事情」とは、健康悪化、海外転勤などの特別な事情によって、遺言執行者としての活動ができなくなったケースなどが考えられます。
2.民法改正後
民法改正によって、原則として、遺言執行人が自由に第三者に遺言の執行を任せることが可能になりました。また、この際に、相続人等の同意を得る必要もありません。ただし、遺言書に、「遺言執行を第三者に委任することを禁止する」という記述がある場合については、委任は認められません。
1)責任はあくまでも遺言執行者にある
遺言執行を第三者に委任した場合には、その責任は全て遺言執行者が負うことになります。代行者が他人に損害を出せば、その責任は遺言執行者に返ってきますから、慎重に人選しなければなりません。
2)職務の一部委任も認められる
遺言執行者としての職務の一部だけを委任することも可能です。 だいたいのことは自分でもできそうだから、特定の手続きだけお願いしたいという形の委任も認められています。
④ぜひ行政書士に依頼してください
遺言執行者の職務委任は、ぜひ専門の行政書士に依頼してください。相続手続きに詳しい行政書士であれば、相続財産の調査から名義変更等の各種手続きまで、全てスムーズに進めてくれます。費用は弁護士や司法書士より安価です。
「相続人の調査だけ」「相続財産目録の作成だけ」というオーダーも可能です。このように、状況にあわせて必要な範囲で委任をすることにより、委任費用を抑えることができます。
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