青色申告と白色申告の違い、メリット・デメリットを解説

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。「よくわからないけど青色申告はメリットがあるらしいから考えてみたい」という方もいると思います。

今回は青色申告と白色申告の違いや、青色申告の要件やメリットについて詳しく解説します。

①確定申告をする際の2つの方式

1.確定申告とはなにか

まずは確定申告の仕組みから説明します。

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得に基づいて税金を計算し、申告・納付することです。

確定申告には、青色申告と白色申告の2つの申告方式があります。

2.青色申告とはなにか

青色申告ができるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のいずれかの所得がある個人事業主です。

まず、青色申告をするためには、税務署に事前に申請書を提出し承認を受ける必要があります。

そのうえで、日々の取引の記録をもとに、「仕訳帳」と「総勘定元帳」を作成し、確定申告の際には総勘定元帳をもとに、「損益計算書」と「貸借対照表」を作成し、確定申告書や青色申告決算書、控除を証明する書類ともに税務署に提出します。

複式簿記の方法によらない簡単な記帳方法でも青色申告が認められます)。

3.白色申告とはなにか

青色申告の申請書を提出していない事業者が行う確定申告制度です。

白色申告は簡易帳簿でよく、確定申告の際には確定申告書と収支内訳書、控除を証明する書類の3点の提出で済みますが、2014年(平成26年)分から、すべての白色申告者に「帳簿への記帳」と「帳簿等の保存(期間5~7年)」が義務づけられ、以前より事務的な手間が増えています。

青色申告のメリット

1.65万円(もしくは10万円)の特別控除がある

青色申告の大きなメリットとして、65万円の特別控除が受けられることが挙げられます。

65万円を収入(課税対象額)から引くことができるのです。

複式簿記の方法によらない簡単な記帳方法でも青色申告が認められますが、この場合は最大10万円以内で青色申告特別控除を受けられます。

不動産所得の場合は特別控除の要件が厳しくなっています。

10万円の特別控除であればマンション一室でも控除が認められますが、65万円の特別控除を受けるためには、アパートは10室以上、貸家は5棟以上の規模で不動産経営を行っていることが条件です。

2.純損失は3年間繰越控除が可能

青色申告では赤字を3年間繰り越すことが可能です。

「繰り越す」とは翌年以降、黒字化して所得が発生した場合に黒字額から損失分を差し引いて申告できるということです。

つまり、赤字になった年以後3年間は、黒字の場合でも赤字分の節税ができるというわけです。

3.家族を青色専従者にして控除を受けられる

生活を同一にする家族への給与は専従者給与として認められます。

白色申告では、収入から専従者給与として差し引けるのは配偶者86万円まで、その他の親族は50万円までと定額です。

これに対して、青色申告では妥当性のある金額であれば、上限設定は設けられていません。

4.30万円未満の減価償却資産は一括経費にできる

通常はパソコンや自動車など、事業に用いる資産を購入したときに一括で減価償却できるのは10万円以下の資産に限られます。

資産が10万円を超えると、耐用年数に応じた期間で経費化しますが、青色申告の場合は、30万円未満のものも一括で減価償却することができます。

もっとも、一括で経費計上するか通常の固定資産として計上し法定の耐用年数で減価償却するかについては、事業主が自らの判断で決めることができます。

減価償却処理を選択ができるという特典は、青色申告者のみに認められているメリットです。

5.自宅をオフィスすると家具や電気代の一部を経費にできる

自宅をオフィスにした場合、家賃や電気代、水道代など光熱費の扱いは、青色申告と白色申告で異なります。

白色申告の場合は、家事関連費の主な部分が業務への使用でなければ認められないのに対して、青色申告では業務に必要なことが明らかであれば経費として認められます。

青色申告のデメリット

1.期の途中からの(白⇒青色)への変更ができない

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所管の税務署に提出しなければなりません。

年度の途中で開業した場合には、開業から2か月以内の提出が求められるため、確定申告をする時点で青色申告をしようとしても間に合わず、翌年からになるケースがあります。

2.複式簿記による記帳の難しさ

青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、貸借対照表損益計算書の作成、さらには複式簿記による帳簿の作成が必要です。

複式簿記を作成するためには簿記の専門的な知識が必要です。

おそらくこれが青色申告するための一番大きな壁でしょう。

もっとも、会計ソフトを利用すれば、取引記録をつけていくだけで、「仕訳帳」と「総勘定元帳」を自動で生成し、事務処理を簡略化することが可能です。

④白色申告のメリットとデメリット

1.記帳が簡単で申告手続きがシンプル

白色申告は単式簿記で済むため比較的簡単です。

確定申告も、収支内訳書に売上や経費などを記入するシンプルなもので済みます。

ただし、前述のようにすべての白色申告者に「帳簿への記帳」と「帳簿等の保存(期間5~7年)」が義務づけられたため、帳簿の作成の手間が増え、以前よりメリットは少なくなりました。

2.特別控除を受けることができない

白色申告では65万円までの特別控除を受けられません。

ただし、白色控除で帳簿記帳と書類の保存が義務づけられたことによって、青色申告の10万円の特別控除と実質変わらない恩恵を受けることができるようになりました。

3.赤字を繰り越すことができない

白色申告では赤字を繰り越すことはできません。

赤字の年度が続いて黒字に転換した年や赤字と黒字を繰り返している場合は、青色申告よりも税負担が重くなります。

⑤可能であれば青色申告にすべき!

1.ソフトの進化で事務手数はあまり変わらなくなった

これまで青色申告と白色申告では事務量に大きな差がありましたが、現在は白色申告でも帳簿をつけなければならなくなり、事務手数のメリットがほとんどなくなりました。

青色申告の複雑な帳簿作成も会計ソフトの導入で一気に解決します!

2.おススメの会計ソフト

面倒な会計処理ですが、青色申告特別控除額の65万円控除を受けるためには、会計ソフトを導入すると解決に一気に近づきます。

いくつか代表的な会計ソフトを紹介しますので、導入を検討してみてください。

すべての業務とつながる「勘定奉行クラウド

勘定奉行クラウドは、クラウドであることを感じさせない操作性、スピード感、機能性を備えています。

勘定奉行クラウドの強み】

・基本的な操作がシンプルで、使い勝手の良い機能が多く搭載されている。

・プログラム自動更新でつねに最新情報がアップされている。

・自分の会社に合わせてカスタマイズもできる。

・サポート体制がしっかりしている。

クラウド上で会計入力ができ、外出先でも試算表や元帳が見られる。

勘定奉行クラウドの問題点】

・機能が多すぎて理解しにくい。

・文字が細かく見難い。

フリーランスから中小企業まで最適な「クラウドERP freee」

またクラウド会計ソフトシェアNo.1を誇るだけあって、そのコストパフォーマンスはとても素晴らしいです。

クラウドERP freeeの強み】

・操作が単純で初心者にも扱いやすく、入力や修正も簡単。

損益計算書なども見やすく、とても使いやすい。

・請求書や見積もりが一括発行、送付できるのでとにかく便利。

・社外からでもアクセスできるので、テレワーク体制でも問題なく使用できる。

クラウドERP freeeの問題点】

・入力箇所が多い。

・レシートを取り込むのに手間がかかり、読み込み制限もある。

・導入サポートが不十分。

・簡単すぎる操作のため、逆に操作しづらい面もある。

売上実績NO.1「弥生会計21ネットワーク」

弥生会計21ネットワークは3台以上のネットワーク環境で使える多機能会計ソフトです。

弥生会計21ネットワークの強み】

経理の知識がそれほどなくても、使いやすい。

青色申告書にも白色申告書にもどちらにも対応している。

・入力や修正が簡単にできる。

・「簡単入力」を使うと全ての項目に自動入力してくれる。

弥生会計21ネットワークの問題点】

・一度に何人もの人が使うと、動作環境が悪くなる

・サポート対応が平日だけ。

・確定申告モジュールの操作が説明不足でわかりにくい。

⑥会社設立・起業を考えている方へ

会社を設立するうえで欠かせないのが「登記手続き」と「創業資金の準備」です。

会社登記は会社設立をする際に必須の手続きです。

自分で手続きをすることもできますが、かなりの手間や時間がかかります。

また、融資を受けて創業をする場合には、金融機関に提出するためのさまざまな資料を準備しなければなりません。

また、さまざまな助成金補助金制度についても、個人で申請をおこなうのはなかなか骨が折れるものです。

こんなときには専門家に手続きを依頼しましょう。

登記手続きや創業融資、助成金補助金の申し込みに費やす時間や労力は、ぜひこれからのビジネスの本業をスタートするために使っていただきたいのです。

⑦創業融資を受けるためには専門家を利用しよう

日本政策金融公庫で創業融資を利用する際には、行政書士のサポートを受けることをオススメします。

創業融資を受けるためには、創業計画書や事業計画書などを作成し、創業するビジネスがどのように成功していくかについて根拠をもって説明する必要があります。

創業計画書や事業計画書をどれだけしっかりと作成し、きちんと説明できるかという点が非常に重要です。

もちろん、ご自身で創業計画書・事業計画書を作成し、日本政策金融公庫の面談を受けることも可能ですが、融資成功の確率をしっかりと高め、融資を実行させるためには、融資の専門家に依頼することが一番です。