副業で会社を設立する際に創業融資を受けるためのポイントを解説

副業が順調に軌道に乗って会社設立が視野に入ってきたという場合に、事業拡張のための融資を受けることは可能でしょうか。

今回は、副業で会社設立する際に融資を受ける際のポイントと注意点について解説します。

①副業の会社設立の場合に利用できる融資はあるか

1.日本政策金融公庫は副業でも融資を受けられる

本業を持ったままの状態で、副業の事業で融資を受けることはできるのでしょうか。

結論からいうと、本業であっても副業であっても会社設立時に融資を受けることは可能です。創業時に利用できる代表的な融資制度として、日本政策金融公庫の新創業融資制度があります。新創業融資制度は、現在起業を検討中の人や、会社設立後でも税務申告が2期まで終わっていない人などが対象で、融資の条件として本業か副業かを問われることはありません。

2.創業融資は総合的な判断で審査される

創業融資の審査では、事業の計画性や自己資金などの条件を勘案して、総合的に貸付の可否を判断します。本業か副業かは問われないとはいえ、副業で融資を受ける際には、本業の場合よりも注意すべきいくつかのポイントが存在します。

②副業で融資を受ける際に注意しておきたいこと

日本政策金融公庫において副業で希望額の融資を利用するために、交渉の際には以下のようなポイントに注意しましょう。

1.(副業=片手間)というイメージを与えないこと

現時点では副業ですが、会社を設立して事業を発展させ、将来的には副業を本業にする計画であることを力強くアピールしましょう。

「本業は続けつつ、片手間で副業を始めたい」「副業の幅を広げる覚悟がない」という印象を与えてしまうと、希望額の融資を勝ち取ることは難しくなります。

2.提出書類で経営能力や将来性を訴えること

創業融資の申請時には、「企業概要書」や「事業計画書」などの書類を提出します。

提出資料の中身は大変重要です。金融機関はこれらの書類で、事業の将来性や計画性、経営能力などを判断し、融資をするかどうかを決めるからです。

「事業に将来性があり、継続して利益が見込まれること」「ビジネスが軌道に乗れば本業にする予定であること」がしっかりと書かれた書類を準備しましょう。

3.本業で副業が禁止されていないこと

融資を受ける際のポイントとして、現在従事している本業で副業が禁止されていないことも大切な条件です。

そもそも融資以前の問題として、副業NGの会社で働くサラリーマンは副業をしてはいけません。融資申請する際にも、金融機関の担当者は必ず申請者の本業で副業が禁止されているかどうかを確認します。副業禁止の会社の場合、申請が通る可能性はありません。

「パートや資産運用はOKだが会社設立はNG」など、会社によって可能な副業のラインは異なるので、起業前には必ず会社の規定を確認しておきましょう。

③副業で会社を設立する際の注意点

1.失業保険の給付が受けられない

本業で雇用保険に加入している場合、退職時には失業保険の給付申請を行うことができます。しかし、副業で会社を設立してしまうと、失業保険の給付資格がなくなってしまうので注意しましょう。

2.融資を受けることが難しい業種や条件

FXや暗号資産など、投資や資産運用としての副業で会社設立する場合は融資を受けることは難しいでしょう。風俗業なども同様で、事業として健全かどうかは融資ポイントのひとつです。

また、金融機関は事業の将来性に着目しています。ネットショップやフランチャイズなど、起業する人の多さに比して継続して事業を伸ばしている事例が少ない業種のほか、いわゆる「斜陽産業」と呼ばれる業種で開業する場合も、融資の審査は厳しくなる傾向があります。

これまでに申請者が経験したことがない異業種での起業の場合も、将来性に対する疑問符がつくことが多いです。たとえば、サラリーマンが未経験のまま、いきなり飲食店開業をするなどのケースなどがあります。このような場合は、一定期間修行経験があるなどの説得力が必要でしょう。それとは反対に、本業と関わりの深い業種での副業の場合は、融資に際して有利に働くケースがあります。

3.事業以外でもアピールできるポイントを探す

そのほか、「家族からの支援が受けられる」「一定の自己資金がある」「実績のあるメンターがいる」など、事業の成功の裏付けとなるアピールポイントがあれば、融資判断の際のプラスポイントになると思います。

融資において一番必要なのは熱意です。金融機関の担当者も人間ですから、前向きな姿勢の人からは、親身になって事業の成功のヒントを引き出そうとしてくれます。起業者自身は融資が難しいと考えていても、熱意をもってアピールすれば必ず成功すると信じましょう。

④会社設立・起業を考えている方へ

会社を設立するうえで欠かせないのが「登記手続き」と「創業資金や運転資金の準備」です。

会社登記は会社設立をする際に必須の手続きです。

自分で手続きをすることもできますが、かなりの手間や時間がかかります。

また、融資を受けて創業をする場合には、金融機関に提出するためのさまざまな資料を準備しなければなりません。

また、さまざまな助成金補助金制度についても、個人で申請をおこなうのはなかなか骨が折れるものです。

こんなときには専門家に手続きを依頼しましょう。

登記手続きや創業融資、助成金補助金の申し込みに費やす時間や労力は、ぜひこれからのビジネスの本業をスタートするために使っていただきたいのです。

手続きが面倒な社会保険の加入についても、専門家のアドバイスによってスムーズにすすめることができます。

⑤創業融資を受けるためには専門家を利用しよう

日本政策金融公庫で創業融資を利用する際には、行政書士のサポートを受けることをオススメします。

創業融資を受けるためには、創業計画書や事業計画書などを作成し、創業するビジネスがどのように成功していくかについて根拠をもって説明する必要があります。

創業計画書や事業計画書をどれだけしっかりと作成し、きちんと説明できるかという点が非常に重要です。

もちろん、ご自身で創業計画書・事業計画書を作成し、日本政策金融公庫の面談を受けることも可能ですが、融資成功の確率をしっかりと高め、融資を実行させるためには、融資の専門家に依頼するのが一番です。