介護タクシー開業のポイントを解説

介護が必要な高齢者や障害のある方の移動に介護タクシーが活躍しています。
高齢化が進むなかで、ニーズはますます高まっています。
介護タクシーは、介護の経験がなくても普通自動車二種免許があれば開業できるため、比較的開業しやすい分野といえます。
「困っている人を助けたい」という思いから事業を始める人も多く、社会貢献をしているという実感がもてる事業として人気があります。

介護タクシーとは
介護タクシーとは、自力での移動が困難な高齢者や障害者の方を支援するためのサービスです。
事業としては一般乗用旅客自動車運送事業(ハイヤー・タクシー事業)に分類されています。
車椅子やストレッチャーに対応した車両を使用し、運転手は移動だけでなく利用者の介助も行うというのが大きな特徴です。
介護分野の国家資格は必要ありませんが、国土交通省の各運輸局の事業許可を取得する必要があります。

介護タクシー開業に必要な免許と資格

介護タクシーを開業するためには、まず普通自動車二種免許が必要です。
一般的なタクシーとは異なり、乗り降りの際に様々な介助が必要になる場合があるため、開業の必須条件ではありませんが、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級以上)を取得しておくと良いでしょう。

介護タクシー介護保険タクシーがある
1.介護タクシー介護保険タクシーの違い
介護タクシー福祉タクシー)では利用者への介助は行わず、介護保険の対象外となります。一方、介護保険タクシーは、利用者への介助を行うことができます。
そのため、介護職員初任者研修の資格が必須条件となっており、サービス料金に介護保険が適用されます。
2.介護職員初任者研修とは
介護タクシーには介護サービスが含まれていると認識している利用者も多いため、そのニーズに応えるために介護保険タクシーの認定を受けておくと、利用者に喜ばれます。
利用者からの信頼性や利便性がアップし、リピーターが増える可能性も広がるでしょう。

介護タクシー開業までの流れ

1.許可要件の確認
介護タクシー事業を開業するためには、国土交通省の各運輸局の事業許可を取得する必要があります。
許可を得るためには、「人的要件」「設備要件」「資本的要件」のすべての要件を満たさなければなりません。

人的要件

普通2種免許を保有しているドライバーがいること
運行管理者がいること(ドライバーの兼任可能)
整備管理者がいること(ドライバーの兼任可能)

設備要件

営業所には事務所および、休憩・仮眠室があること
原則として営業所に車庫が併設されていること
リフト、スロープ、寝台等がある福祉車両(1両以上)を有すること

資金要件

所要資金の50%以上、かつ事業開始当初資金の100%以上の自己資金の確保

2.運輸支局へ許可申請書を提出
営業所所在地を管轄する運輸支局に申請書類一式を提出します。
3.法令試験および事情聴取
申請書が受理された後に、法令試験と事情聴取を受けます。
法令試験は、道路運送法等に関するものです。
試験は〇×方式と簡単な筆記回答方式で、30問中24問以上正解で合格です。
4.審査と許可
審査は公示基準に基づいて行われます。
審査が通過すると、許可証が交付されるまでに約2か月程度かかります。
許可書は、申請書を提出した運輸支局で交付されます。許可書の交付後、登録免許税(3万円)を期限までに納付し、納付後に領収書を所定の届出様式に添付して所管の運輸局へ提出します。
5.車両の検査と登録
車両の検査を受けて登録し、緑ナンバーに変更します。
介護タクシー事業を開始したら、管轄運輸支局に運輸開始届を提出します。
これでようやく、介護タクシー開業までのすべての手続が完了したことになります。
管轄の運輸局への申請、法定試験、車両の登録など、多くの要件や試験、書類の準備が必要となり、開業までに3~4か月の準備期間が必要です。

介護タクシー開業に使える補助金助成金

資金調達の方法として、自己資金や融資のほかに助成金補助金制度があります。
1.福祉タクシー導入促進事業費補助金
高齢者や障害者の交通手段の確保・充実を図り、公共交通機関としての福祉タクシーの導入を促進するための制度で、福祉タクシーを導入する一般乗用旅客自動車運送事業者等の車両購入のために必要な費用の一部を助成します。
都道府県によって適用範囲が異なるので、確認しておきましょう。
2.小規模事業者持続化補助金
小規模事業者等が、地域の商工会議所や商工会議所の助言を受けて経営計画書を作成し、計画に沿った販路開拓を行う場合にかかる費用の3分の2(上限50万円)までを補助する制度です。
3.キャリアアップ助成金
正規雇用の労働者の社内でのキャリアアップを促進する取り組みを実施した場合に利用できる助成金です。

⑥会社設立・起業を考えている方へ
会社を設立するうえで欠かせないのが「登記手続き」と「創業資金の準備」です。
会社登記は会社設立をする際に必須の手続きです。
自分で手続きをすることもできますが、かなりの手間や時間がかかります。
また、融資を受けて創業をする場合には、金融機関に提出するためのさまざまな資料を準備しなければなりません。
また、さまざまな助成金補助金制度についても、個人で申請をおこなうのはなかなか骨が折れるものです。
こんなときには専門家に手続きを依頼しましょう。
登記手続きや創業融資、助成金補助金の申し込みに費やす時間や労力は、ぜひこれからのビジネスの本業をスタートするために使っていただきたいのです。

⑦創業融資を受けるためには専門家を利用しよう
日本政策金融公庫で創業融資を利用する際には、行政書士のサポートを受けることをオススメします。
創業融資を受けるためには、創業計画書や事業計画書などを作成し、創業するビジネスがどのように成功していくかについて根拠をもって説明する必要があります。
創業計画書や事業計画書をどれだけしっかりと作成し、きちんと説明できるかという点が非常に重要です。
もちろん、ご自身で創業計画書・事業計画書を作成し、日本政策金融公庫の面談を受けることも可能ですが、融資成功の確率をしっかりと高め、融資を実行させるためには、融資の専門家に依頼することが一番です。