小さな飲食店を開業する方法

一人で小さな飲食店を開きたいと考えている人に向けて、開業前に行う準備について詳細を解説します。開業前の準備にはどのような手順を踏めばよいのか、事前に確認して開店準備の参考にしてください。

①小さい飲食店のサイズ感

1.小さい飲食店のカテゴリー

「小さい飲食店」の定義は人それぞれ異なりますが、一般的には面積は10~15坪ほどで席数20席以下の飲食店は小さい飲食店というカテゴリーに入ると思います。

小さい飲食店が多く並ぶエリアなどは、お客さんが入店するお店を選択する楽しみがあることから人気を集めています。

2.小さい飲食店のスタンダード

高級志向のレストランは(1坪に1席)用意するのが一般的です。一方で小さい飲食店ではカウンタータイプにするか、テーブルタイプにするかによって座席数は異なりますが、(1坪に2~2.5席)を配置するのが基本です。

バーやカフェ、ラーメン店、寿司屋など、業態にふさわしい席の配置や種類を選びましょう。小さい飲食店は、1~2人客をターゲットにした業態を選ぶのがスタンダードです。

②小さい飲食店のコンセプト設計

飲食店を成功させるために最も重要なのはコンセプト設計です。

1.コンセプト設計を甘く見てはダメ

コンセプトとは「どのような飲食店にするのか」ということです。来店するお客さんが感じ取る「店に対するイメージ」や「商品やサービスの内容」を判断する材料になります。

開業した後も方針がぶれることのないように、最初にコンセプトを決めましょう。

コンセプトが確立していないと、店の魅力や価値、強みをアピールすることができず、経営を安定させられないことにもつながります。

2.コンセプトが決まれば店づくりに迷いがなくなる

コンセプトを決める際には、店の名前や内装、立地、価格、営業時間、スタッフの人数など様々な要素も含めて検討します。店のコンセプトは店名や内装、従業員の接客態度や制服、メニュー名など、店のすべてにつながっていきます。

「コンセプトに共感できるような従業員を採用しよう」「食器やメニューのデザインはこうしよう」といった具体的な店づくりが検討しやすくなります。

3.コンセプトを確立するとリピーターが増える

「この飲食店は、このような商品やサービスを提供している」ということを来客が把握すれば、再来店するお客さんが増えます。

さらに、明確なコンセプトはお客さんへのメッセージとして伝わりやすいので、口コミの広がりにも期待がもてます。

③コンセプトづくりのノウハウは「5W1H」にある

飲食店を開業する際に融資を受けるケースもあるでしょう。その際に必要なのが「事業計画書」です。

計画書を作成する際にも、どのようなコンセプトのお店であるかを明確にしておく必要がありますが、「5W1H」を固めることは重要なポイントになります。

1.5W1Hを使ってコンセプトを決める

5W1H」はビジネス全般で使用されるワードです。「何を、誰に、どこで、いつ、なぜ、どのように」という5つの要素を明確にすることから始めます。

5つの要素が明確になると、設計がスムーズに行えるうえ、開業後も方針がぶれることがありません。

2.「5W1H」を使った検討例

何を:国産・無農薬栽培の食材を使う

誰に:健康志向の強い人、OL、カップ

どこで:10坪店舗でカウンター20席

いつ:ランチのみ

どのように:野菜はビュッフェスタイル、ポイントサービス

 

④何よりも重要なのは店舗物件選び

1.物件探しは資金調達より先に行う

店舗の物件選びは、資金調達よりも先に行います。

物件を探すよりも、資金調達を先に行わなければならないというイメージを持っている人が多いかもしれません。お金がなければ物件を借りられないというイメージがあるためです。

しかし実際には、資金調達よりも契約する物件を探して仮押さえをする方が先決です。

なぜ物件選びが先なのか

金融機関から資金を調達する際には事業計画書が必要です。事業計画書に出店場所や家賃が明記されていれば融資の可否判断がスムーズにいきます。

しかし、出店エリアや家賃など何もわからない状態では、金融機関は融資を判断できないのです。

したがって、資金調達よりも物件探しが先になるのです。自己資金が少ない場合には、手付金を払わずに仮押さえできるようにオーナーと交渉しましょう。

2.物件探しは施工業者に同行してもらう

物件を選ぶ際に施工業者に同行をお願いしましょう。プロの目で確認することによって、水回りの課題や予定していた席数を確保できないといった問題点を発見することができます。

内装工事の費用の概算がその場でわかるというメリットもあります。

3.「居抜き物件」について

飲食店の開業で人気がある「居抜き物件」について少し解説します。

居抜き物件とは、退去した店の造作などをそのまま使用できる物件のことです。機材などがそのまま使えるので初期投資が少なくて済むのがメリットです。

4.居抜き物件のデメリット

居抜き物件では、以前営業していた店舗が集客できずに閉店したケースが珍しくありません。近隣住民から良い印象を持たれていないとか、食中毒を出したというケースも考えられます。

このような場合は、新しく飲食店をオープンしても悪いイメージを払拭するまでに時間がかかる可能性が高いです。居抜き物件を検討する際には、不動産会社や近隣に以前の店舗の情報を問い合わせしましょう。

また居抜き物件では、厨房や客席の広さ、必要な器具に制限があり、自分が考えていた店のコンセプトと合致しないこともあります。理想通りの物件に出会えればラッキーですが、安易に妥協してしまうと後々まで後悔することもあり得ます。

5.開業予定日の8か月以上前に賃貸契約をする

外装工事、資金調達などを考えると、開業予定日の8~10か月前には契約を済ませておきましょう。契約すると家賃が発生します。したがって、この期間は自己資金から家賃を捻出しなければなりません。

⑤自己資金と資金調達の目安

小さい飲食店を開業する際にも意外とまとまった資金が必要です。自己資金のほかに金融機関から資金調達しなければならないケースがほとんどでしょう。

しかし、実際にどの程度の資金が必要なのか、自己資金はどれぐらい準備すればいいいのかわからないという人がほとんどだと思います。

1.費用の内訳

初期費用の内訳は、賃貸料、内装や設備工事費用、看板やメニューを作成する費用です。

賃貸契約の場合、月額家賃ほかに保証金(敷金)が必要です。保証金は家賃1年分というのが一般的です。月額家賃が10万円あれば、120万円用意しなければならないので結構痛いです。

内装と設備工事費用は、居抜き物件で坪単価(10~50万円)と、通常よりもかなり低く抑えることができます。

2.理想的な開業資金は1000万円前後

開業資金の平均値はおよそ1,000万円を考えておきましょう。小さい飲食店は60~80万円×坪数で計算するのが妥当です。

最低300万円程度の自己資金があれば開業そのものは可能だといえますが、残りは金融機関からの融資になります。

3.「居抜き物件」は初期投資で有利

居抜き物件であれば、初期投資はなりコストダウンできます。通常(一坪60~80万円)かかるところ、居抜き物件であれば(10~40万円)程度に用を抑えるとができます。

4.スタート時点で資金的に躓くケースが少なくない

飲食店を開業してすぐに千客万来となるケースは少ないかもしれません。開業してからの数か月間は黒字にならないケースがほとんどだといってもいいでしょう。

したがって、スタート資金がギリギリの状態でオープンすると、すぐに金銭的に煮詰まってしまうことになります。

5.助成金補助金を上手に活用しよう

開業資金を調達する場合に助成金補助金を利用する方法もあります。

補助金は、金融機関の融資とは異なり、一定の条件を満たして融資審査を通過すれば、前払いで融資が受けられます。

⑥成功のコツは「コンセプト・店舗選び・資金調達」

小さな飲食店を開業するためには様々な準備が必要ですが、準備を進めるための第一段階としてコンセプト設計を行うことが重要です。そのうえで店舗選びを行い、コンセプトに合ったロケーションを粘り強く探しましょう。

店舗選びで安易な妥協は禁物です。

資金調達については自己資金を合わせて1,000万円を目指して、あらゆる手段を講じましょう。資金調達のハードルは意外に高いですが、熱意があれば必ず成功します。

副業で会社を設立する際に創業融資を受けるためのポイントを解説

副業が順調に軌道に乗って会社設立が視野に入ってきたという場合に、事業拡張のための融資を受けることは可能でしょうか。

今回は、副業で会社設立する際に融資を受ける際のポイントと注意点について解説します。

①副業の会社設立の場合に利用できる融資はあるか

1.日本政策金融公庫は副業でも融資を受けられる

本業を持ったままの状態で、副業の事業で融資を受けることはできるのでしょうか。

結論からいうと、本業であっても副業であっても会社設立時に融資を受けることは可能です。創業時に利用できる代表的な融資制度として、日本政策金融公庫の新創業融資制度があります。新創業融資制度は、現在起業を検討中の人や、会社設立後でも税務申告が2期まで終わっていない人などが対象で、融資の条件として本業か副業かを問われることはありません。

2.創業融資は総合的な判断で審査される

創業融資の審査では、事業の計画性や自己資金などの条件を勘案して、総合的に貸付の可否を判断します。本業か副業かは問われないとはいえ、副業で融資を受ける際には、本業の場合よりも注意すべきいくつかのポイントが存在します。

②副業で融資を受ける際に注意しておきたいこと

日本政策金融公庫において副業で希望額の融資を利用するために、交渉の際には以下のようなポイントに注意しましょう。

1.(副業=片手間)というイメージを与えないこと

現時点では副業ですが、会社を設立して事業を発展させ、将来的には副業を本業にする計画であることを力強くアピールしましょう。

「本業は続けつつ、片手間で副業を始めたい」「副業の幅を広げる覚悟がない」という印象を与えてしまうと、希望額の融資を勝ち取ることは難しくなります。

2.提出書類で経営能力や将来性を訴えること

創業融資の申請時には、「企業概要書」や「事業計画書」などの書類を提出します。

提出資料の中身は大変重要です。金融機関はこれらの書類で、事業の将来性や計画性、経営能力などを判断し、融資をするかどうかを決めるからです。

「事業に将来性があり、継続して利益が見込まれること」「ビジネスが軌道に乗れば本業にする予定であること」がしっかりと書かれた書類を準備しましょう。

3.本業で副業が禁止されていないこと

融資を受ける際のポイントとして、現在従事している本業で副業が禁止されていないことも大切な条件です。

そもそも融資以前の問題として、副業NGの会社で働くサラリーマンは副業をしてはいけません。融資申請する際にも、金融機関の担当者は必ず申請者の本業で副業が禁止されているかどうかを確認します。副業禁止の会社の場合、申請が通る可能性はありません。

「パートや資産運用はOKだが会社設立はNG」など、会社によって可能な副業のラインは異なるので、起業前には必ず会社の規定を確認しておきましょう。

③副業で会社を設立する際の注意点

1.失業保険の給付が受けられない

本業で雇用保険に加入している場合、退職時には失業保険の給付申請を行うことができます。しかし、副業で会社を設立してしまうと、失業保険の給付資格がなくなってしまうので注意しましょう。

2.融資を受けることが難しい業種や条件

FXや暗号資産など、投資や資産運用としての副業で会社設立する場合は融資を受けることは難しいでしょう。風俗業なども同様で、事業として健全かどうかは融資ポイントのひとつです。

また、金融機関は事業の将来性に着目しています。ネットショップやフランチャイズなど、起業する人の多さに比して継続して事業を伸ばしている事例が少ない業種のほか、いわゆる「斜陽産業」と呼ばれる業種で開業する場合も、融資の審査は厳しくなる傾向があります。

これまでに申請者が経験したことがない異業種での起業の場合も、将来性に対する疑問符がつくことが多いです。たとえば、サラリーマンが未経験のまま、いきなり飲食店開業をするなどのケースなどがあります。このような場合は、一定期間修行経験があるなどの説得力が必要でしょう。それとは反対に、本業と関わりの深い業種での副業の場合は、融資に際して有利に働くケースがあります。

3.事業以外でもアピールできるポイントを探す

そのほか、「家族からの支援が受けられる」「一定の自己資金がある」「実績のあるメンターがいる」など、事業の成功の裏付けとなるアピールポイントがあれば、融資判断の際のプラスポイントになると思います。

融資において一番必要なのは熱意です。金融機関の担当者も人間ですから、前向きな姿勢の人からは、親身になって事業の成功のヒントを引き出そうとしてくれます。起業者自身は融資が難しいと考えていても、熱意をもってアピールすれば必ず成功すると信じましょう。

④会社設立・起業を考えている方へ

会社を設立するうえで欠かせないのが「登記手続き」と「創業資金や運転資金の準備」です。

会社登記は会社設立をする際に必須の手続きです。

自分で手続きをすることもできますが、かなりの手間や時間がかかります。

また、融資を受けて創業をする場合には、金融機関に提出するためのさまざまな資料を準備しなければなりません。

また、さまざまな助成金補助金制度についても、個人で申請をおこなうのはなかなか骨が折れるものです。

こんなときには専門家に手続きを依頼しましょう。

登記手続きや創業融資、助成金補助金の申し込みに費やす時間や労力は、ぜひこれからのビジネスの本業をスタートするために使っていただきたいのです。

手続きが面倒な社会保険の加入についても、専門家のアドバイスによってスムーズにすすめることができます。

⑤創業融資を受けるためには専門家を利用しよう

日本政策金融公庫で創業融資を利用する際には、行政書士のサポートを受けることをオススメします。

創業融資を受けるためには、創業計画書や事業計画書などを作成し、創業するビジネスがどのように成功していくかについて根拠をもって説明する必要があります。

創業計画書や事業計画書をどれだけしっかりと作成し、きちんと説明できるかという点が非常に重要です。

もちろん、ご自身で創業計画書・事業計画書を作成し、日本政策金融公庫の面談を受けることも可能ですが、融資成功の確率をしっかりと高め、融資を実行させるためには、融資の専門家に依頼するのが一番です。

介護タクシー開業のポイントを解説

介護が必要な高齢者や障害のある方の移動に介護タクシーが活躍しています。
高齢化が進むなかで、ニーズはますます高まっています。
介護タクシーは、介護の経験がなくても普通自動車二種免許があれば開業できるため、比較的開業しやすい分野といえます。
「困っている人を助けたい」という思いから事業を始める人も多く、社会貢献をしているという実感がもてる事業として人気があります。

介護タクシーとは
介護タクシーとは、自力での移動が困難な高齢者や障害者の方を支援するためのサービスです。
事業としては一般乗用旅客自動車運送事業(ハイヤー・タクシー事業)に分類されています。
車椅子やストレッチャーに対応した車両を使用し、運転手は移動だけでなく利用者の介助も行うというのが大きな特徴です。
介護分野の国家資格は必要ありませんが、国土交通省の各運輸局の事業許可を取得する必要があります。

介護タクシー開業に必要な免許と資格

介護タクシーを開業するためには、まず普通自動車二種免許が必要です。
一般的なタクシーとは異なり、乗り降りの際に様々な介助が必要になる場合があるため、開業の必須条件ではありませんが、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級以上)を取得しておくと良いでしょう。

介護タクシー介護保険タクシーがある
1.介護タクシー介護保険タクシーの違い
介護タクシー福祉タクシー)では利用者への介助は行わず、介護保険の対象外となります。一方、介護保険タクシーは、利用者への介助を行うことができます。
そのため、介護職員初任者研修の資格が必須条件となっており、サービス料金に介護保険が適用されます。
2.介護職員初任者研修とは
介護タクシーには介護サービスが含まれていると認識している利用者も多いため、そのニーズに応えるために介護保険タクシーの認定を受けておくと、利用者に喜ばれます。
利用者からの信頼性や利便性がアップし、リピーターが増える可能性も広がるでしょう。

介護タクシー開業までの流れ

1.許可要件の確認
介護タクシー事業を開業するためには、国土交通省の各運輸局の事業許可を取得する必要があります。
許可を得るためには、「人的要件」「設備要件」「資本的要件」のすべての要件を満たさなければなりません。

人的要件

普通2種免許を保有しているドライバーがいること
運行管理者がいること(ドライバーの兼任可能)
整備管理者がいること(ドライバーの兼任可能)

設備要件

営業所には事務所および、休憩・仮眠室があること
原則として営業所に車庫が併設されていること
リフト、スロープ、寝台等がある福祉車両(1両以上)を有すること

資金要件

所要資金の50%以上、かつ事業開始当初資金の100%以上の自己資金の確保

2.運輸支局へ許可申請書を提出
営業所所在地を管轄する運輸支局に申請書類一式を提出します。
3.法令試験および事情聴取
申請書が受理された後に、法令試験と事情聴取を受けます。
法令試験は、道路運送法等に関するものです。
試験は〇×方式と簡単な筆記回答方式で、30問中24問以上正解で合格です。
4.審査と許可
審査は公示基準に基づいて行われます。
審査が通過すると、許可証が交付されるまでに約2か月程度かかります。
許可書は、申請書を提出した運輸支局で交付されます。許可書の交付後、登録免許税(3万円)を期限までに納付し、納付後に領収書を所定の届出様式に添付して所管の運輸局へ提出します。
5.車両の検査と登録
車両の検査を受けて登録し、緑ナンバーに変更します。
介護タクシー事業を開始したら、管轄運輸支局に運輸開始届を提出します。
これでようやく、介護タクシー開業までのすべての手続が完了したことになります。
管轄の運輸局への申請、法定試験、車両の登録など、多くの要件や試験、書類の準備が必要となり、開業までに3~4か月の準備期間が必要です。

介護タクシー開業に使える補助金助成金

資金調達の方法として、自己資金や融資のほかに助成金補助金制度があります。
1.福祉タクシー導入促進事業費補助金
高齢者や障害者の交通手段の確保・充実を図り、公共交通機関としての福祉タクシーの導入を促進するための制度で、福祉タクシーを導入する一般乗用旅客自動車運送事業者等の車両購入のために必要な費用の一部を助成します。
都道府県によって適用範囲が異なるので、確認しておきましょう。
2.小規模事業者持続化補助金
小規模事業者等が、地域の商工会議所や商工会議所の助言を受けて経営計画書を作成し、計画に沿った販路開拓を行う場合にかかる費用の3分の2(上限50万円)までを補助する制度です。
3.キャリアアップ助成金
正規雇用の労働者の社内でのキャリアアップを促進する取り組みを実施した場合に利用できる助成金です。

⑥会社設立・起業を考えている方へ
会社を設立するうえで欠かせないのが「登記手続き」と「創業資金の準備」です。
会社登記は会社設立をする際に必須の手続きです。
自分で手続きをすることもできますが、かなりの手間や時間がかかります。
また、融資を受けて創業をする場合には、金融機関に提出するためのさまざまな資料を準備しなければなりません。
また、さまざまな助成金補助金制度についても、個人で申請をおこなうのはなかなか骨が折れるものです。
こんなときには専門家に手続きを依頼しましょう。
登記手続きや創業融資、助成金補助金の申し込みに費やす時間や労力は、ぜひこれからのビジネスの本業をスタートするために使っていただきたいのです。

⑦創業融資を受けるためには専門家を利用しよう
日本政策金融公庫で創業融資を利用する際には、行政書士のサポートを受けることをオススメします。
創業融資を受けるためには、創業計画書や事業計画書などを作成し、創業するビジネスがどのように成功していくかについて根拠をもって説明する必要があります。
創業計画書や事業計画書をどれだけしっかりと作成し、きちんと説明できるかという点が非常に重要です。
もちろん、ご自身で創業計画書・事業計画書を作成し、日本政策金融公庫の面談を受けることも可能ですが、融資成功の確率をしっかりと高め、融資を実行させるためには、融資の専門家に依頼することが一番です。

高齢者が亡くなったあと大切なペットはどうなるのか

ペットには癒し効果や認知症予防効果があり、犬や猫は高齢者にとってのよきパートナーになります。家族同然の存在であるペットですが、もし飼い主さんが先に亡くなってしまったら、かれらはどうなるのでしょうか。
今回は相続とペットの関係に焦点を当て、死後にペットを任せられる「ペット信託」の仕組みや費用について解説します。

①深刻な高齢者のペット問題

1.人間同様に犬猫も長寿化がすすむ
現代は空前のペットブームといわれていますが、動物医療や飼育環境、ペットフードの進化などにより、ペットの長寿化もすすんでいます。
ペット保険を提供するアニコムホールディングスが公表した「家庭動物白書2022」によると、同社のペット保険契約をもとに算出した犬の平均寿命は14.1歳、猫の平均寿命は14.4歳でした。同社の調査によると、犬猫の寿命は年々長くなっているといいます。

2.飼い主が先に亡くなるケースも増えている
ペットの長寿化とともに、飼い主が先に亡くなるケースが増えています。孤独死が社会問題となっていますが、その際に残されたペットへの影響も深刻です。飼い主の遺体とともに、餓死寸前または死んだペットが見つかるなどの悲しい事例も発生しています。

3.ペットを誰に預ければいいのか
老夫婦の2人世帯や高齢者の独居世帯の場合、歳をとるにつれてペットの世話をすることが難しくなってきます。
このような場合、子どもや親類などに世話を頼りたいところですが、ペットを引き取ることができない住環境であるとか、そもそも動物が苦手という場合も考えられます。そこで、第三者にペットを託せる「ペット信託」の仕組みがつくられることになりました。

②ペット信託を活用すべき理由

1.民事信託とペット信託
「民事信託」とは、自分の財産を誰かに預けて有効活用してもらい、そこから生じた利益を受けとる仕組みである「信託」の一形態です。
信託銀行がとり扱う金融商品投資信託とは異なり、民事信託は、受託者が営利を目的としないのが特徴です。判断力が低下した方や高齢者の財産の管理や処分を目的とし、その多くは家族間で行うものです。
ペット信託は民事信託を応用した仕組みです。飼い主の高齢化にともなう体調不良や死亡による飼育困難(不能)な状況に備えて、あらたな飼い主にペットを預け(信託)、飼育を継続することを目的としています。
ペット信託を利用するためには、委託者(飼い主)と受託者の間で信託契約を結ぶ必要があります。そして、委託者による飼育が困難になると信託がスタートします。

2.遺贈との違い
飼い主の死後、ペットの飼育を任せる方法としては、「遺贈(負担付き)」という形式もあります。相続財産を受け取るための条件として、ペットの飼育を指示する契約です。たとえば「残された猫の飼育を生涯継続して行うことを条件に、1000万円の預金を遺贈する」といった内容になります。
しかし、ペットの今後を考えた場合には、ペット信託の方が優ります。負担付き遺贈では、ペットの飼育がしっかりされているかのチェックが難しいからです。信頼できる親族であれば安心できますが、遺産だけ受け取って、ペットの飼育をしない相続人が出てくる可能性も否定できません。

3.ペット信託を利用するメリット

1)ペットの飼育放棄を防ぐことができる
前述のように、負担付き遺贈を選択した場合、飼育放棄されるリスクがあります。ペット信託であれば、あらかじめ飼い主にふさわしい施設や個人(受託者)を指定することができ、受託者は業務として実行するため、負担付き遺贈よりも大きな効力を持つことになります。
ペット信託は、一括支払い、または、相続財産に該当しない飼い主の信託口座で運用するため、かりに相続人に争いが起きたとしても、飼育費の支払いが滞るリスクはありません。

2)ペットの飼育状況を指定できる
ペット信託では、ペットの飼育方法を細かく指定することができます。ペット病院、トリミング施設、ペットシッターなど、飼い主の希望通りに指定できます。さらに「信託監督人」を指名すると、指定した飼育方法を受任者が守っているのかどうかのチェックを行ってくれるので、安心度が高まります。

③ペット信託の料金相場

ペット信託の料金相場について、初年度に必要となる項目をまとめました。あくまでも平均的な費用なので、当然ですがペットの年齢やコンディション、個体差によって変動します。
契約書作成は行政書士に依頼し、あわせて公正証書遺言も作成しておくとよいでしょう。

契約書作成費用          150,000円(犬)    150,000円(ねこ)
公正証書遺言作成         120,000円(犬)    120,000円(ねこ)
予防接種や病気やケガの治療    150,000円(犬)      60,000円(ねこ)
シャンプーやトリミング代       50,000円(犬)      40,000円(ねこ)
ノミ・ダニ予防                            15,000円(犬)      15,000円(ねこ)
トイレ砂・シート代など             40,000円(犬)      60,000円(ねこ)
初年度合計額                              525,000円(犬)    445,000円(ねこ)

概算ですが、初年度で45~55万円程度、2年目以降は20~30万円の費用がかかります。すべての費用は受託者が信託口座から支払います。

④ペット信託の注意点

1.悪質業者に注意
ペット信託はペットの将来を守るための画期的な仕組みですが、実はまだ、スタートしてから間もないサービスです。
ペット信託を取り扱うNPO法人などもありますが、パンフレットだけで信用せず、面倒でも自分の目で飼育状況を確認するようにしてください。大変残念なことに、高齢者のペットに対する愛情に付け込み、法外な料金を請求する業者もあるので注意しましょう。それとは逆に、安すぎる料金設定の場合も要注意です。

2.初期費用がかかる
ペット信託を利用するためには、契約時にまとまった費用が必要です。契約時に一括で支払うか、信託口座に必要な金額を入金しておくのが一般的です。利用するペット信託によっては、100万単位の費用がかかるケースもあります。

3.受託者選びの難しさ
ペット信託の受託者を選ぶことは最大のハードルになるかもしれません。条件に合う受託者が見つかれば問題ありませんが、飼い主自身が探すのも難しいと思います。
ペット信託をサービスとして提供している団体が受託者を探してくれるケースもあります。その分費用は高くなるかもしれませんが、いつまでたっても受託者が見つからず、ペット信託が利用できないという事態を避けるためには、それらの紹介サービスを選択したほうがいいでしょう。

⑤ペット信託を始めるために

1.相続とセットで考える
ペット信託を検討する際には、相続についても並行して考えておきましょう。ご自身の没後の遺産トラブルを避けるためには、遺言書の作成は重要です。
ペット信託だけを先行するのではなく、まずは相続全体のことを考えて、その中でペット信託の詳細を考えるというのが自然な流れです。

2.信託監督人を選ぶ
ペット信託を選択する際には、同時に「信託監督人」を選びましょう。信託監督人は、ペット信託の取り決めが確実に守れているかを監督する役割の人です。信託監督人を選任する場合は、契約書作成のときから関わってきた行政書士に依頼するといいでしょう。

⑥ペットを飼うことを諦めないでほしい

ペットとの暮らしが生きがいになり、活力を取り戻す高齢者も多くいますが、「ペットを飼いたいけど、自分が死んだ後が不安で飼えない」という方も多いというのが実情です。しかし、ペット信託を利用すれば、飼い主が亡くなっても、ペットの生活は保障されます。高齢者の方にも、これからペットを飼うことを諦めないでほしいと思います。
もっとも、独りよがりになってはいけません。ペットも大事ですが、残された家族のことも考えておかなければなりません。ペット信託を検討する際には、遺言書の作成をセットで考えておくようにしましょう。

「おひとりさま」は死後事務委任契約で事前に対策を

人が亡くなると、葬儀を始め、医療費や公共料金の支払い、年金受給の停止など、さまざまな手続きが発生します。これらの事務手続きを「死後事務」と呼び、通常であれば、亡くなった方の親族が行ないます。
しかし、ご本人に身寄りがなかったり、あるいは親族と疎遠であるなどの事情がある方にとって、ご本人が亡くなったあとの手続きを誰が行うのかは深刻な悩みです。このようなときに頼りになるのが「死後事務委任」という仕組みです。

①人が亡くなったあとはどうなるのか

1.人が亡くなったあとにはさまざまな手続きがある
亡くなった状況にもよりますが、通常、病院で亡くなった場合、遺体は安置所に安置されます。病院の安置所は可能な限り早く空けなければならないので、すぐに葬儀社を手配し、葬式の内容や連絡先、火葬の手配などについて、担当者と詳細を調整していきます。
葬儀の手配と並行して、役所への死亡届の提出、生命保険金の請求、年金の手続きを進めます。病院の費用の支払いや、施設に入所していた場合は費用の精算などもしなければなりません。
このように、亡くなった後の事務手続き(死後事務)にはさまざまなものがあり、しかも、これだけの手続きを短期間のうちに行う必要があります。

2.誰が自分の死後事務をやってくれるのか
一般的に、死後事務は配偶者や子ども、親族が行います。しかし、親族がいない、もしくは頼りになる親族が遠方に住んでいて、すぐに来られないとか、高齢で対応が困難なケースもあるでしょう。親族や他人に迷惑をかけたくないというお考えであれば、生前にご自身で対策を講じておく必要があります。
そこで注目していただきたいのが「死後事務委任契約」です。ご本人が亡くなった後に、死亡届の提出、葬儀の手配、医療費や公共料金の支払などの煩雑な手続きを、ご本人に代わって行うことを約した契約です。

②死後事務委任契約ができること

1.委任できる範囲は幅広い
死後事務委任契約は、法律で禁じられている以外のことであれば、委任する事務の内容を自由に決めることができます。具体的には以下の事務の委任が可能です。

医療費や介護施設利用料の支払い
相続人や関係者への連絡
葬儀や埋葬の手配。墓石の建立、永代供養、菩提寺の選定
死亡届と年金受給の停止
賃貸借物件の精算と明け渡し
公共料金、税金の支払いなどの事務
遺品の整理

2.遺産処分はできない
しかし、死後事務委任契約では遺産の処分方法は指定できません、この点には注意してください。遺産相続の内容はご本人が遺言書で指定する、あるいはご本人没後の遺産分割協議によって、相続人の合意により、遺産は分配されます。

③死後事務委任契約の前に

1.どんな人が契約をするべきか
誰もが死後事務委任契約をすべきということではありません。信頼できる親族がいる場合は、あえて死後委任契約を結ぶ必要はないでしょう。この仕組みを利用していただきたいのは、相続人がいない「おひとりさま」や、家族関係が複雑な方、あるいは親族と疎遠になっている方です。

2.誰と契約すればいいのか
死後事務委任契約は、本来、親族などの相続人が行なうべき手続きを、相続人に代わって行うものです。誰に依頼するかについて、法律上の決まりや資格はないので、ご自身が信頼できる方を選んでいただくのが一番だと思います。
もっとも、死後事務というのは、結局のところ金銭が絡む話です。そういう意味で、多くの方にとって、とくに「おひとりさま」にとっては「肉親以外の信頼できる人」というのは、ほとんど見当たらないというのが実情かも知れません。また、金融機関や役所は平日しか対応してくれず、手続きも煩雑です。死後事務を受任される方にとっては、かなりの負担になるでしょう。
したがって、適任者がいない場合は、弁護士、司法書士行政書士などの相続の専門家にご依頼いただくと手続きがスムーズに進みます。

④死後事務委任契約作成の注意点と着眼点

1.公正証書で作成する
死後事務委任契約には決まった形式はありませんが、遺産分割に言及するなど、正しくない内容の文書は後のちトラブルになる可能性もあるので、公正証書によって作成するのが一般的です。公正証書は、法律のプロである公証人が事前に内容のチェックを行なうので、内容が無効になるなどのトラブルを回避することができます。

2.デジタル遺品について
デジタル遺品とは、パソコンやスマホなどのデジタル機器に残されたデータのことです。デジタル遺品は、「物」として残されていないので、第三者にはわからないことが多く、放っておくとそのままになってしまう可能性があります。また、これらのデータは、ご本人しかわからないパスワードで守られているので、ご家族が中身を確認することが困難です。
インターネット銀行の預金がそのまま埋もれてしまうリスクがあるほか、たとえばご本人がFX取引をネット上で行なっていた場合、回収すべき収益を取り逃がしてしまったり、逆に損失を発生させてしまう可能性もあります。預入金以上の含み損が出ると、FX会社から親族に損失分を請求されます。

3.デジタル遺品の「発掘」は想像以上の経費がかかる
デジタル遺品のパスワードの解析を行う専門業者もありますが、費用はかなりの高額であり、そもそも確実に解錠できるとは限りません。したがって、このような資産凍結の事態に備えて、ご本人があらかじめ大切なデータやパスワードを一覧にして書き残しておくことをおススメします。
また、パソコンやスマホのデータ消去や、SNSのアカウント削除を死後事務委任契約の内容として受任者に依頼しておくことも可能です。

4.残されたペットについて
「おひとりさま」にとって家族同然であるペットの引受先を見つけてもらうことも、死後事務委任契約として可能です。あるいは、「ペット信託」という制度を検討するのもいいでしょう。
ペットの飼育のために必要な財産を残す旨を遺言に記したとしても、その後、ペットが適正に飼育されているかどうかを確認するすべはありません。そこで、財産の一部を信頼できる人物や団体に託す(信託契約といいます)ことによって、ご自身の没後も信託財産によってペットを養育できるというのが、ペット信託の仕組みです。

⑤死後事務委任契約との組み合わせ
死後事務委任契約と、そのほかの対策を組み合わせることにより、よりスムーズに相続を実行することができます。

1.遺言書との関係
先述のように、死後事務委任契約では遺産分割を指定することができません。ご自身の財産の承継についてお考えがある場合は、遺言書を残しましょう。
ところが、遺言書の内容がトラブルの種になってしまうことがあります。家族関係が複雑な場合や、兄弟仲が悪い場合などは、遺言書で遺産分割を決めたとしても、その通りに実行されるどうかの保証はありません。たとえ遺言書の内容が法的に有効であっても、相続人全員が合意しなければ遺言は執行されないのです。話がこじれてしまうと、最悪、家庭裁判所での調停や審判を経ないと解決しなくなってしまいます。
このようなリスクに備えて、遺言書で「財産の行き先」を決めておいて、死後事務委任契約で遺産分割手続きを確実に履行するという形を準備しておくことで、不安のかなりの部分が解消される可能性が高まります。この場合に、遺言執行者と死後事務委任契約を結ぶというのがベストな対策かと思います。

2.任意後見契約との関係
「任意後見契約」は、判断能力が低下した際に、「任意後見人」がご本人の財産管理と身上監護を行なうものです。判断能力のレベルによって「成年後見人」「保佐人」「補助人」の3種類があります。後見人等はご本人の生活をケアするために力を貸してくれますが、死後事務は担務外です。これらの契約の有効期間は本人が生きている間に限られるからです。
したがって、任意後見契約を結ぶ際には、同時に死後事務委任契約も締結し、生前没後を通じて一貫してフォローをお願いしましょう。

⑥費用の問題など

1.死後事務委任契約の費用
委任契約を依頼する際には以下の費用がかかります。

公正証書作成費用
各種手続き費用(病院、葬儀、公的支払い等)
委託報酬(専門家に依頼した場合)

費用の支払いについては、死後事務契約を締結する際に、「預託金」としてあらかじめまとまった金額を、受任者に預けておく方法がとられています。また、死後事務を専門家に依頼した場合には、受任者としての報酬が発生します。
報酬金額は、委任する事務の範囲によって大きく変わります。役所への届出などそれほど手間がかからない手続きだけであれば数万円程度ですむこともありますが、葬儀の手配なども一括して依頼する場合は50万~100万円程度かかることもあります。

2.ぜひ専門家にご相談ください
弁護士、司法書士行政書士など、相続事務の専門家は、相続に関するさまざまなアドバイスをしてくれます。死後事務委任契約だけでなく、遺言書の作成、遺言執行者の任命、信託制度遺言書や任意後見契約など、そのほかの手続きについてもあわせて相談できるのもメリットです。
「おひとりさま」をはじめ、ご自分の没後についてご心配な方は、ぜひお気軽に相談してみてください。

青色申告と白色申告の違い、メリット・デメリットを解説

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。「よくわからないけど青色申告はメリットがあるらしいから考えてみたい」という方もいると思います。

今回は青色申告と白色申告の違いや、青色申告の要件やメリットについて詳しく解説します。

①確定申告をする際の2つの方式

1.確定申告とはなにか

まずは確定申告の仕組みから説明します。

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得に基づいて税金を計算し、申告・納付することです。

確定申告には、青色申告と白色申告の2つの申告方式があります。

2.青色申告とはなにか

青色申告ができるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のいずれかの所得がある個人事業主です。

まず、青色申告をするためには、税務署に事前に申請書を提出し承認を受ける必要があります。

そのうえで、日々の取引の記録をもとに、「仕訳帳」と「総勘定元帳」を作成し、確定申告の際には総勘定元帳をもとに、「損益計算書」と「貸借対照表」を作成し、確定申告書や青色申告決算書、控除を証明する書類ともに税務署に提出します。

複式簿記の方法によらない簡単な記帳方法でも青色申告が認められます)。

3.白色申告とはなにか

青色申告の申請書を提出していない事業者が行う確定申告制度です。

白色申告は簡易帳簿でよく、確定申告の際には確定申告書と収支内訳書、控除を証明する書類の3点の提出で済みますが、2014年(平成26年)分から、すべての白色申告者に「帳簿への記帳」と「帳簿等の保存(期間5~7年)」が義務づけられ、以前より事務的な手間が増えています。

青色申告のメリット

1.65万円(もしくは10万円)の特別控除がある

青色申告の大きなメリットとして、65万円の特別控除が受けられることが挙げられます。

65万円を収入(課税対象額)から引くことができるのです。

複式簿記の方法によらない簡単な記帳方法でも青色申告が認められますが、この場合は最大10万円以内で青色申告特別控除を受けられます。

不動産所得の場合は特別控除の要件が厳しくなっています。

10万円の特別控除であればマンション一室でも控除が認められますが、65万円の特別控除を受けるためには、アパートは10室以上、貸家は5棟以上の規模で不動産経営を行っていることが条件です。

2.純損失は3年間繰越控除が可能

青色申告では赤字を3年間繰り越すことが可能です。

「繰り越す」とは翌年以降、黒字化して所得が発生した場合に黒字額から損失分を差し引いて申告できるということです。

つまり、赤字になった年以後3年間は、黒字の場合でも赤字分の節税ができるというわけです。

3.家族を青色専従者にして控除を受けられる

生活を同一にする家族への給与は専従者給与として認められます。

白色申告では、収入から専従者給与として差し引けるのは配偶者86万円まで、その他の親族は50万円までと定額です。

これに対して、青色申告では妥当性のある金額であれば、上限設定は設けられていません。

4.30万円未満の減価償却資産は一括経費にできる

通常はパソコンや自動車など、事業に用いる資産を購入したときに一括で減価償却できるのは10万円以下の資産に限られます。

資産が10万円を超えると、耐用年数に応じた期間で経費化しますが、青色申告の場合は、30万円未満のものも一括で減価償却することができます。

もっとも、一括で経費計上するか通常の固定資産として計上し法定の耐用年数で減価償却するかについては、事業主が自らの判断で決めることができます。

減価償却処理を選択ができるという特典は、青色申告者のみに認められているメリットです。

5.自宅をオフィスすると家具や電気代の一部を経費にできる

自宅をオフィスにした場合、家賃や電気代、水道代など光熱費の扱いは、青色申告と白色申告で異なります。

白色申告の場合は、家事関連費の主な部分が業務への使用でなければ認められないのに対して、青色申告では業務に必要なことが明らかであれば経費として認められます。

青色申告のデメリット

1.期の途中からの(白⇒青色)への変更ができない

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所管の税務署に提出しなければなりません。

年度の途中で開業した場合には、開業から2か月以内の提出が求められるため、確定申告をする時点で青色申告をしようとしても間に合わず、翌年からになるケースがあります。

2.複式簿記による記帳の難しさ

青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、貸借対照表損益計算書の作成、さらには複式簿記による帳簿の作成が必要です。

複式簿記を作成するためには簿記の専門的な知識が必要です。

おそらくこれが青色申告するための一番大きな壁でしょう。

もっとも、会計ソフトを利用すれば、取引記録をつけていくだけで、「仕訳帳」と「総勘定元帳」を自動で生成し、事務処理を簡略化することが可能です。

④白色申告のメリットとデメリット

1.記帳が簡単で申告手続きがシンプル

白色申告は単式簿記で済むため比較的簡単です。

確定申告も、収支内訳書に売上や経費などを記入するシンプルなもので済みます。

ただし、前述のようにすべての白色申告者に「帳簿への記帳」と「帳簿等の保存(期間5~7年)」が義務づけられたため、帳簿の作成の手間が増え、以前よりメリットは少なくなりました。

2.特別控除を受けることができない

白色申告では65万円までの特別控除を受けられません。

ただし、白色控除で帳簿記帳と書類の保存が義務づけられたことによって、青色申告の10万円の特別控除と実質変わらない恩恵を受けることができるようになりました。

3.赤字を繰り越すことができない

白色申告では赤字を繰り越すことはできません。

赤字の年度が続いて黒字に転換した年や赤字と黒字を繰り返している場合は、青色申告よりも税負担が重くなります。

⑤可能であれば青色申告にすべき!

1.ソフトの進化で事務手数はあまり変わらなくなった

これまで青色申告と白色申告では事務量に大きな差がありましたが、現在は白色申告でも帳簿をつけなければならなくなり、事務手数のメリットがほとんどなくなりました。

青色申告の複雑な帳簿作成も会計ソフトの導入で一気に解決します!

2.おススメの会計ソフト

面倒な会計処理ですが、青色申告特別控除額の65万円控除を受けるためには、会計ソフトを導入すると解決に一気に近づきます。

いくつか代表的な会計ソフトを紹介しますので、導入を検討してみてください。

すべての業務とつながる「勘定奉行クラウド

勘定奉行クラウドは、クラウドであることを感じさせない操作性、スピード感、機能性を備えています。

勘定奉行クラウドの強み】

・基本的な操作がシンプルで、使い勝手の良い機能が多く搭載されている。

・プログラム自動更新でつねに最新情報がアップされている。

・自分の会社に合わせてカスタマイズもできる。

・サポート体制がしっかりしている。

クラウド上で会計入力ができ、外出先でも試算表や元帳が見られる。

勘定奉行クラウドの問題点】

・機能が多すぎて理解しにくい。

・文字が細かく見難い。

フリーランスから中小企業まで最適な「クラウドERP freee」

またクラウド会計ソフトシェアNo.1を誇るだけあって、そのコストパフォーマンスはとても素晴らしいです。

クラウドERP freeeの強み】

・操作が単純で初心者にも扱いやすく、入力や修正も簡単。

損益計算書なども見やすく、とても使いやすい。

・請求書や見積もりが一括発行、送付できるのでとにかく便利。

・社外からでもアクセスできるので、テレワーク体制でも問題なく使用できる。

クラウドERP freeeの問題点】

・入力箇所が多い。

・レシートを取り込むのに手間がかかり、読み込み制限もある。

・導入サポートが不十分。

・簡単すぎる操作のため、逆に操作しづらい面もある。

売上実績NO.1「弥生会計21ネットワーク」

弥生会計21ネットワークは3台以上のネットワーク環境で使える多機能会計ソフトです。

弥生会計21ネットワークの強み】

経理の知識がそれほどなくても、使いやすい。

青色申告書にも白色申告書にもどちらにも対応している。

・入力や修正が簡単にできる。

・「簡単入力」を使うと全ての項目に自動入力してくれる。

弥生会計21ネットワークの問題点】

・一度に何人もの人が使うと、動作環境が悪くなる

・サポート対応が平日だけ。

・確定申告モジュールの操作が説明不足でわかりにくい。

⑥会社設立・起業を考えている方へ

会社を設立するうえで欠かせないのが「登記手続き」と「創業資金の準備」です。

会社登記は会社設立をする際に必須の手続きです。

自分で手続きをすることもできますが、かなりの手間や時間がかかります。

また、融資を受けて創業をする場合には、金融機関に提出するためのさまざまな資料を準備しなければなりません。

また、さまざまな助成金補助金制度についても、個人で申請をおこなうのはなかなか骨が折れるものです。

こんなときには専門家に手続きを依頼しましょう。

登記手続きや創業融資、助成金補助金の申し込みに費やす時間や労力は、ぜひこれからのビジネスの本業をスタートするために使っていただきたいのです。

⑦創業融資を受けるためには専門家を利用しよう

日本政策金融公庫で創業融資を利用する際には、行政書士のサポートを受けることをオススメします。

創業融資を受けるためには、創業計画書や事業計画書などを作成し、創業するビジネスがどのように成功していくかについて根拠をもって説明する必要があります。

創業計画書や事業計画書をどれだけしっかりと作成し、きちんと説明できるかという点が非常に重要です。

もちろん、ご自身で創業計画書・事業計画書を作成し、日本政策金融公庫の面談を受けることも可能ですが、融資成功の確率をしっかりと高め、融資を実行させるためには、融資の専門家に依頼することが一番です。

高齢の親の銀行口座の暗証番号を把握しておくべき理由

高齢の親が入院したり、高齢者施設に入所するといった事態になったとき、気になるのはお金の問題です。とくに、昨今社会問題ともなっている認知症の親とお金の問題については、注意すべき点が多くあります。

①親が認知症になってしまったら

1.認知症の親の銀行口座から出金する方法
親が認知症になってしまうと、入院費用や生活費、介護施設の入所費用など、実に多くの費用がかかります。介護や治療などの精算手続きは、認知症の親に代わって家族が行うことになるのですが、親の取引銀行からお金の引き出すことが難しいケースがあります。

1)緊急対応が可能なケースとは
親のキャッシュカードを家族が預かっておいて、入院や介護費用などを精算するケースも多いでしょう。口座の暗証番号を知っていれば、とりあえず払い戻しすることは可能です。しかし、暗証番号を知らないと、一気にとんでもない事態に陥ってしまいます。
このような場合、まずは事情を話して、銀行の窓口で直談判してみましょう。担当者の配慮で、緊急時の特例として必要な額だけ口座からお金を出してくれることもあります。ただし、金融機関は継続的に家族が親の預金を管理することは想定していないので、緊急的に預金を引き出すことはできても、それ以降の引き出しは認めないといったことも想定されます。
なお、定期預金については、本人の委任状がなければ、親族でも解約できないことになっています。

2)暗証番号を知っていれば問題はないのだろうか?
本人のキャッシュカードを家族が預かって管理している場合、当座はお金の出入金が可能でも、実は安全ではありません。今現在はキャッシュカードで入出金できていても、その状態がずっと続くわけではないからです。
金融機関では、詐欺被害から高齢者を守るために、口座名義人の年齢に応じて1日の取引額に制限を設けているケースがあります。また、ATMの利用状況をもとに、本人に連絡を取って、意思確認を行うこともしています。意思確認の際に、口座名義人に意思能力が認められないなどの状況が認められた場合は、規程に沿って口座利用を停止する措置を取ることがあります。

2.父親を介護施設に入れることも難しくなる
父親が介護施設に入所する場合にも、原則、本人に入所の意思があることが条件となります。入所契約を子どもが代理で行なう場合でも、父親本人から委任を受ける必要があります。その際、施設において意思確認が行われることになるのですが、認知症が進行した父親には判断能力がないとして、入所を断られることも考えられます。

②相続が発生した状況で起こりうる事態

1.遺産相続がすすめられない
たとえば、両親と子ども2人の家庭をイメージしてください。高齢の父親が認知症になってしまいました。この状況で母親が亡くなり、遺産相続が発生したと仮定します。
遺産相続は、遺言書がない場合であれば、相続人(父と2人の子ども)の合意によって、「遺産分割協議書」を作成し、それに基づいて遺産の分割が行われるという手順になっています。しかし、父親の判断能力がなくなっているため、全員の合意がはかれず、遺産相続がストップしてしまうのです。

2.金融機関の対応
相続手続きだけではなく、亡くなった母親の銀行口座もストップしてしまいます。金融機関にある母親の預貯金を引き出すためには、こちらも原則として、金融機関に遺産分割協議書を提出する必要があります。また、金融機関の必要書類には、相続人全員の署名捺印が求められますが、父親に判断能力がなければ、それらの手続きができません。

成年後見制度という選択

このような困った状況下で、判断能力を失った本人に代わって諸手続きを代行してくれるのが「成年後見人」という制度です。

1.法定後見制度と任意後見制度
成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。法定制度のほうは、すでに判断能力を失った人をサポートするための制度で、任意後見制度は、加齢によって将来、判断能力を失ったときに後見制度が開始されるものです。

2.3つの後見制度
法的後見制度には、判断能力の程度によって、「後見人」「保佐人」「補助人」という3つの類型があります。本人の住所を管轄する家庭裁判所に「成年後見等選任申立て」を行うと、本人との面談が行われます。その結果、3段階のうち、いずれかの適用が認められると、成年後見人が選任されるという流れです。
親族が後見人になるケースもありますが、事務手続きなどに慣れていない人にとって、その任務はかなりハードルが高いものです。実際に、子ども自らが成年後見人になりたい旨、申し立てた場合でも、家庭裁判所が適任ではないと判断すれば、弁護士や司法書士などの専門職後見人が選ばれています。不正防止の観点からも、家族が選ばれることは少ないと思われます。

3.後見制度によって解決できる手続き
後見制度が適用されることによって、後見人の同意を前提に、定期預金の解約が可能になり、介護施設への入所問題の解決も期待できます。また、母親の遺産相続についても、後見人が代行し、スムーズに解決することが期待できます。

④後見制度の注意点

後見制度には有利な点も多いのですが、注意しておかなければならない点もいくつかあります。

1.お金の問題
法定後見制度を導入すると、後見人への報酬が発生します。報酬は月額2万円、年額24万円程度と、それほど多額ではありません。ただし、たとえば後見制度が10年以上の長期間にわたるような場合は、積み重なってそれなりに大きな金額になることもあります。
お金の問題で考えられるもっとも大きな問題は、たとえ家族であっても、親の財産がチェックできなくなることです。親の全財産は後見人の管理に委ねられ、父親の介護のためなど、家族が負担した費用を精算する際にも、いちいちお伺いを立てなければなりません。

2.基準は被後見人の利益になるかどうか
これもお金の問題につながりますが、後見人の財産管理の目的が、「父親本人にとって必要なものかどうか」に限定されるという点には注意すべきでしょう。たとえば、相続対策として父親の財産を子どもに生前贈与するなどの行為は、家族全体としては有益であっても、被後見人にとっては利益にならないと判断され、認められません。

3.家族の都合で後見人は解任できない
不正がない限り、家族が父親の後見人を解任することはできません。「家族と気が合わないので解任したい」というのもダメです。
家族からみて、認知症の進行がおさまり、かなり体調が回復したと感じたとしても、判断能力の有無の判定は簡単ではありません。建前上、判断能力が回復すれば後見を解除できることにはなっていますが、実態としては、成年後見制度がひとたび適用されると、被後見人(認知症の父親)が亡くなるまで、終了しないものと考えたほうがいいでしょう。

⑤事前の対策が重要

老後の対策は、本人が事前に準備しておくことが重要です。自分に判断力があるうちに、「家族信託」「生前贈与」「遺言書作成」「任意後見制度」といった仕組みを活用して、あるいはこれらの制度の組合せによって、老後の対策を講じるべきだと思います。それは同時に、自分の希望を叶えることにもつながります。
しかし、認知症になってしまったあとでは、法定成年後見制度以外の選択肢がなくなってしまいます。後々、家族が困らないために、親自身から、自分の老後の希望や家族の将来について話し合う機会をつくるように働きかけておくことが重要だと思います。