補助金・助成金制度をわかりやすく解説

各種補助金助成金制度について、このような感想をもつ事業者も多いと思います。

●どんな給付制度があって、どれを申請すればいいのかわからない
●申請方法がわからない
●忙しくて申請書類を作成する時間がない

今回は、補助金助成金のアウトラインを開設し、事業者におススメの制度を紹介します。

①事業者の悩み

コロナ禍以降、中小企業や個人事業主救済のための制度が整備されてきました。その一方で、「制度がわかりにくい」「申請する時間がない」「実際にその制度が自分の会社やお店に適用されるかどうかわからない」といった不満をもっている事業者も多いのではないでしょうか。

実際に、これらの支援制度は無数にあり、どの制度を活用すれば有利なのか、皆目わかりません。

補助金助成金

1.補助金とは
一般的に「補助金」とは経済産業省が管轄するもので、個別の経済政策の目的を達成するための制度です。申請事業者の事業内容を審査し、採択されると補助金が付与されます。

2.助成金とは
助成金」は厚生労働省管轄の「雇用」に関する活動が対象で、個々の要件を満たせば獲得することができます。このほか、各地方自治体の経済施策として、さまざまな助成金制度が準備されています。

3.無数にある補助金助成金制度
補助金助成金の種類は、国主導のほか自治体主導のものを合わせると、約3,000種類あるといわれています。単年度で終了する制度や、毎年運用されている制度など、さまざまあり、このなかで自社に合った補助金助成金を見つけることは至難の業です。
インターネットで「補助金助成金」で検索すると「ミラサポPlus」という経済産業省中小企業庁が運営するサイトを見つけることができますが、ここで紹介されているのは主に中小企業庁の政策が中心で、そのほかの省庁の情報や自治体の施策は網羅していません。

③事業者におススメの補助金制度

数ある補助金制度のなかでも、比較的汎用性の高い制度を紹介します。

1.ものづくり補助金
生産性向上に資する革新的なサービスの「開発・試作品開発・生産プロセスの改善」を行う中小企業や、小規模事業者の設備投資や新規ビジネスモデルの構築を支援するプログラムです。
経費の一部を支援する補助金で、「一般型(上限1000万円)」「グローバル展開型(同3000万円)」「ビジネスモデル構築型(同1億円)」の3種類があります。
それぞれ補助率が設定されていて、事業規模の(1/2~2/3)または定額となっています。

2.小規模事業者持続化補助金
製造業、建設業では、従業員数20名以下、商業、サービス業などでは5名以下の小規模事業者が対象です。経営計画を作成し、その計画に沿って行う販路開拓等に取組むことを支援する補助金です。
目的は販路開拓で、宣伝広告費やホームページ制作費などに使うことができます。補助率2/3、上限額50万円が基本ですが、新型コロナ対策として、補助上限額が100万円まで引き上げられました。

3.IT導入補助金
中小企業や小規模事業者が、事前に登録したIT導入補助事業者と協働して、生産性向上に貢献するITツールを導入する際に補助を受けることができる制度です。
対象はITツール(ソフトウェア、サービス等)で、ハードウェアは対象外です。補助率は50%(30~450万円)ですが、新型コロナ対応型として適用範囲が広がりました。

4.事業再構築補助金
ポストコロナ・ウイズコロナの新時代を見据えて、思い切った事業再構築を支援するための新しい補助金制度です。補助の対象は以下の内容です。

①新分野展開
②事業転換
③業種転換
④事業再編の定義を見極め

④事業者におススメの助成金制度

続いて助成金制度をいくつか紹介します。サービス業や飲食業、小売業に向けた以下のような制度が用意されています。

1.ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
中小企業への「革新的サービス開発」「試作品開発」「生産プロセスの改善」のための設備投資支援です。750~3000万円までの支援をうけることができます。

2.事業支援・引き継ぎ補助金
中小企業者が事業承継、事業再編及び事業統合を契機として、新たな取り組みを行う事業を支援する制度で、最大750万円までの支援をうけることが可能です。

3.地域新成長創出促進事業補助金
地域の特性や強みとデジタル技術をかけあわせた、地域発のデジタルイノベーションの先進ビジネスモデルを支援する制度で、中小企業は1500万円まで、非中小企業で1100万円までの支援をうけることができます。

4.地域・起業共生型ビジネス導入。創業促進事業補助金
中小企業等が自治体と連携して、複数の地域に共通する問題解決と収益の両立を目指す事業が対象で、3000~4000万円までの補助をうけることができます。

⑤新型コロナ感染症に関する補助金助成金
新型コロナウイルス感染症の影響で、経営が悪化した事業者への支援策として「持続化給付金」「家賃支援給付金」が設けられたほか、各都道府県や市町村単位でも独自の支援金制度が設けられました。

持続化給付金は、2022年時点ですでに申請受付が終了し、自治体の給付制度も順次終了しています。今後ほかの制度についても、順次終了に向かうと考えられるため、今回の解説では割愛します。

行政書士に申請代行を依頼するメリット

ここで紹介した補助金助成金は事業主自身でも申請できますが、行政書士にサポートを依頼することにより、以下のようなメリットがあります。

1.採択される可能性が高くなる
補助金助成金申請する際には、必要書類を応募期間内に提出しなければなりません。これらの資料の作成や行政への提出を代行するのが行政書士です。
とくに難易度が高いのは、事業計画書です。事業計画書は審査の大きなポイントであり、その出来次第によって、合否は大きく左右されます。

・事業の取り組み理由
・革新性や事業の特色
・経営者の経歴
・商品・サービス内容
・取引先
・損益計画(売上・経費・利益)

計画書には、これらの事項を説得力をもって盛り込むことが重要です。補助金サポートの実績がある行政書士は、これらのポイントを押さえた事業計画書を作成することができるので、補助金が採択される可能性が高くなります。

2.補助金の支給金額が増える可能性も
補助金助成金のなかには、一定の要件を満たすことで給付額がアップするものもあります。行政書士補助金サポートを依頼することによって提出書類のクオリティがアップし、より多くの給付金額を得られる可能性が広がります。

3.申請から給付までの時間が短縮できる
行政書士のサポートにより、必要書類の収集の時間や作成書類の準備時間を大きく短縮することが可能です。必要書類の不備などによって何度も役所を往復するロスもなくなり、補助金助成金の申請から給付までの時間を短縮することができます。

賞味期限ギリギリのパンの販売で成功する方法

昨今、食品ロスの問題が大きく取り上げられています。スーパーやコンビニの賞味期限切れ食品の投棄問題や、少し前にはコンビニが「恵方巻」をつくりすぎて売れ残りが大量に発生したこともありました。食品ロスはモッタイナイことのほかに、これを逆手に取ったビジネスも現われてきました。

①パン屋さんの悩みを解決する方法
現代はパン屋の出店ブームであり、起業する人も増えています。その種類も食パンや菓子パンなど、趣向をこらした魅力的な商品がたくさん出てきました。

1.アピール方法に変化をつけて弱点を強みに変える
競争相手が多くなれば、特色を打ち出していく必要があります。
それではその弱点を逆手に取るアピール方法もあるでしょう。天然の素材を使い、防腐剤などを添加していないパンはたしかに日持ちがしません。
「賞味期限1日」を謳えば、商品が新鮮であることを顧客に伝えることができます。また多くのパン屋さんは1人起業の場合も多く、人手が少ないという悩みをもっています。このようなケースでは「1日10個限定。これ以上はつくれません」と謳えば、丁寧さや限定品といったアピールが可能になるでしょう。

2.食品ロス解決としての深夜のパン屋
出店者のもうひとつの悩みはやはり食品ロスです。準備する商品量の調整は難しいものです。多すぎれば売れ残りが発生するし、少なければすぐに欠品し、常連が定着しなくなるかもしれません。個人商店で商品量を調整することは難しいのです。
先日、あるテレビ番組で深夜の繁華街でパン販売している店が紹介されていました。深夜まで働いているホステスさんが夜食用に買って帰ったり、客が自宅にお土産として買うのだそうです。実は、ここで販売されているパンはこの店でつくられたものではありません。店の店主は、近郊の複数のパン屋から賞味期限がせまり廃棄処分される前のパンを買い入れて、ここで安く販売しています。商品のバラエティも多く、普段半値以下の廉価で売られていることから大評判になっているそうです。

②パン以外の食品販売ビジネスにも応用できるはず

1.いたるところに見られる飽食の光景
これまでも、賞味期限の切れたパンを家畜のエサにするなどの転用が一部でおこなわれてきましたが、ほとんどタダ同然で引き取られていたのが現状であり、この深夜のパン屋さんの成功事例はあたらしいアプローチだといえるでしょう。
賞味期限の問題はパン以外にも無数にあります。さきほどの「恵方巻」しかり、クリスマスケーキやスーパーマーケットで売られている土用の丑をすぎた鰻のかば焼きは、時期が過ぎて売れ残ったあと、どうなるのでしょうか。

2.販売方法を工夫すればあらたなビジネスが生まれる
個人的に気になっているのは、収穫が多くなりすぎて廃棄処分される野菜です。収穫前のキャベツや白菜をトラクターで踏みつぶしている光景は胸が痛くなります。
これらの野菜が廃棄される理由は、市場に野菜が大量に出ることによる値崩れの問題と、販売価格を上回る運送費の問題があるといいます。そうであれば、通常のルート以外の販売ルートで売り、これを売る人が自ら野菜を運搬すれば問題は解決するはずです。

3.規格外野菜の行き先
また、規格外の野菜についても、ほとんどが廃棄されているという現実があります。市場流通における産地間競争の激化にともない、規格はより高い水準を求める傾向にあります。規格外となった野菜の取り扱いは農家にとって大きな悩みです。比較的見た目のよいものは、直売所などで販売したり加工業者に売ったりできますが、多くの規格外野菜は引き取り先がなく、最終的に畑にすき込んだり、廃棄しているのが現状です。味も品質も変わらないのに、規格に合わないというだけの理由で作物を廃棄しなければならないというのは、本当に残念なことです。

4.海外における廃棄野菜削減への取り組み
オーストラリアには、消費期限が近づいた食品や生鮮品だけを扱うスーパーマーケットがあります。この店の商品には値札が付いていません。お客さんが商品の値段を決めて買うシステムなのです。店舗の運営はボランティアで行われ、売上金は食品ロス削減の活動資金に充てられています。
アメリカにも規格外の野菜や果物を農家から買い取り、スーパーでの販売価格の30~50%引きの格安価格でオンライン販売し、自宅まで配送するサービスがあります。このほか、イギリスでは、余った食材をユーザー同士で譲渡しあえるアプリがあるそうです。

③廃棄野菜を販売する方法

1.ECサイトでの通販
ECサイトでの通販で成功しているEC事例が多数あります。ハウツーを詳しく解説するサイトもあるので参考にしてみましょう。

2.レストランや飲食店に直接販売
飲食店と直接取引できれば、個人消費者向けよりもまとまった量を販売できます。飲食店は使う野菜にもこだわりを持っている場合が多く、ある程度の定量を継続的に収める必要があります。

3.加工品として販売
ジャムやトマトピューレなど、生産者自らがつくった加工品がよく売れています。最近では、一般社団法人を設立して規格外野菜を買い取り、加工などして販売している取り組みなども盛んです。地元に人脈を持つ人と協力して、地域を挙げて規格外野菜の問題に取り組むことができれば理想的です。

④会社設立や起業を考えている方へ
会社を設立するうえで欠かせないのが「登記手続き」と「創業資金や運転資金の準備」です。
会社登記は会社設立をする際に必須の手続きです。
自分で手続きをすることもできますが、かなりの手間や時間がかかります。
また、融資を受けて創業をする場合には、金融機関に提出するためのさまざまな資料を準備しなければなりません。
また、さまざまな助成金補助金制度についても、個人で申請をおこなうのはなかなか骨が折れるものです。
こんなときには専門家に手続きを依頼しましょう。
登記手続きや創業融資、助成金補助金の申し込みに費やす時間や労力は、ぜひこれからのビジネスの本業をスタートするために使っていただきたいのです。
手続きが面倒な社会保険の加入についても、専門家のアドバイスによってスムーズにすすめることができます。

⑤創業融資を受けるためには専門家を利用しよう
日本政策金融公庫で創業融資を利用する際には、行政書士のサポートを受けることをオススメします。
創業融資を受けるためには、創業計画書や事業計画書などを作成し、創業するビジネスがどのように成功していくかについて根拠をもって説明する必要があります。
創業計画書や事業計画書をどれだけしっかりと作成し、きちんと説明できるかという点が非常に重要です。
もちろん、ご自身で創業計画書・事業計画書を作成し、日本政策金融公庫の面談を受けることも可能ですが、融資成功の確率をしっかりと高め、融資を実行させるためには、融資の専門家に依頼するのが一番です。

孔子の人間性について

孔子(孔丘)は紀元前552年に魯国(中国山東省)に、貧しい母子家庭で生まれました。14歳で学問を志し、17歳で母を亡くして孤児になり、27歳から魯国の下役人として倉庫番や牛馬の世話係をしながら、礼学を修めました。

魯国にクーデターが起こると、孔子は出国して諸国を転々としながら学問を続けました。50代になって祖国に戻ると、魯国の大司寇(現在の裁判官)として任官しますが、数年で辞職し、その後は弟子たちとともに諸国を放浪しながら就職口を探します。しかし、要職に就く希望は叶わず、郷里で私塾を開いて弟子の教育をおこないました。

孔子の私塾には最盛期で約3000人の弟子を集めたといわれています。後年になって孔子は神格化されていくのですが、実は面白いエピソードも残っています。

①巨人・孔子

孔子の容姿については、いささか怪異じみた感想が述べられています。孔子は身長が216センチもある巨体で、「長人」という異名があったといわれています。また、荘子は「上半身は長く、下半身は短く、背が曲がり、耳は後ろのほうについていた」と語っています。その怪異な容姿は、さぞや目立ったことでしょう。

孔子とは関係ありませんが、わたしは昔、人ごみの新宿駅のターミナルでジャイアント馬場さんを見たことがあります。たしかに数百メートル先でも、その巨体は目立っていました(笑)。

②神格化される孔子

孔子は74歳で亡くなりました。この時代の人としてはかなり長命です。没後には、ますます孔子の神格化がすすんでいきました。その怪異な容姿に関する伝説も、神格化のひとつなのでしょう。

ちなみに、中国では上半身が長い人物は英雄として特別視されるようで、漢の高祖(劉邦)も長身で上半身が長かったといわれています。

1.論語孔子の作品ではない

曰く、「孔子儒学を確立した」。これは正確ではありません。論語には孔子の警句が数多く記されていますが、そのすべてが孔子の言葉というわけではないと思います。孔子は生前、体系立った哲学(儒学)を確立したわけではなく、孔子が記したとされる著作も、すべて弟子たちが編纂したものなのです。

2.非暴力主義

孔子の評価すべき点は著作ではなく、その哲学の基礎に「非暴力主義」があったことです。論語を読むと、孔子が語ったとされる言葉には、ところどころで矛盾に突き当たることも少なくないのですが、非暴力の主張は首尾一貫しています。

孔子の教えを曲解した弟子が、自分が仕える国の領主に隣国への戦争を進言すると、孔子は周囲が驚くほど動揺して、慌てて弟子を止めに走ったという話も残っています。

孔子人間性

1.自己評価とのアンバランスに悩む

孔子は宮廷儀礼や葬礼、祭儀に関する作法のエキスパートとして、諸国を回って就職活動していました。最終的に自分自身の就職はうまくいかなかったのですが、その理由は自己評価が高すぎたからかもしれません。

しかし弟子のなかには、ちゃっかり役人として採用される者も出てきました。孔子は弟子に対して嫉妬心を隠さず、役所から戻った弟子の帰宅が遅くなると強く叱責し、自らを認めない社会に対して愚痴をこぼしていたといいます。

2.人間・孔子

孔子は「礼で大切なことは形式ではなく精神である」と教えながら、「最近の礼は、なっていない」と「したり顔」の弟子を叱りつけたり、荒くれ者に説法をしに出向いたところ、逆に論破されて逃げ帰ってくるなど、ずいぶん格好の悪い逸話も残しています。

結局のところ、孔子もひとりの人間に過ぎず、かならずしも聖人君主ではなかったかもしれません。しかし、食うか食われるかの中国の戦国時代にあって「平和」を教え、実践したことが、「難しい人間性」にかかわらず多くの人を集めた理由ではないでしょうか。

もうひとつ指摘しておきたいのが、孔子の母親の存在です。裕福でない母子家庭にありながら、息子に学問を志すように教育したこと。これは尊敬に値します。安易に「親ガチャ」などという言葉は使うべきではないと思うのですが、子どもにとって肉親の影響はやはり大きいものです。

骨董収集の話

わたしの少ない趣味のひとつは骨董収集です。といっても、高価なものはほとんどなく、どちらかといえば美術品としてではなく、歴史を感じる遺物としての価値に重きを置いています。今回は、そんな骨董品の世界について雑談をすすめていきます。

①骨董品と金銭的な価値

そもそも、骨董品の金銭的価値は、数が増えないところにあります。形あるものは、いつか壊れる運命にあります。しかし、目の前の骨董品は、何百年も壊れることなく奇跡的に現在までその形を保っています。コレクターはその点に価値を見出し、この希少な物品を所持することに意味を見出しているわけです。ところが、もし、その数が増えるとすれば、骨董品の価値はどうなるでしょうか?

1.骨董品の常識が変わった

かつて中国の陶磁器や金属器は、蒐集家にとって高嶺の花でした。ところが、1980年代後半から、中国国内で開発ラッシュがはじまると、中国全土のいたるところで、地面が掘り返され、それこそ、捨てるほどの大量の発掘物が出てきました。

2.暴落する中国の古陶磁

日本にも、中国骨董が波のように押し寄せ、その結果、中国の古陶磁や金属器の値段は、あっという間に暴落してしまいました。たとえば、紀元前後の漢時代の緑釉の壺などは、1970年代であれば、300万円程度で取引されていましたが、現在では、コンディションのよいものでも50万円ぐらいまで価格が下落し、傷があったり、文様に面白みがないものであれば10万円を切り、5万円程度で入手できるものもあります。

また、アンダーソン土器に至っては、その希少性から、かつては500万円ぐらいで取引されていたものが、現在では、1~2万円の値付けがされて、市場に出回っています。

②骨董マーケットの特徴

かつて骨董のマーケットには、骨董店で物品を入手した客が、10年、20年とコレクター自身が楽しんで、あるいは持ち主が代替わりすることによって、また、骨董店に品が戻ってくるというサイクルが存在していました。

このようにして、顧客と店の間を骨董がゆっくりとしたペースで回ることで、マーケットは、常に物品のほうが少ない売り手市場となり、ゆるやかにビジネスが回転します。骨董品は、減ることはあっても、増えないことが大前提なので、取引によって、物品が値上がりしていくのが常識だったのです。

しかし、2000年代に起こった中国からの骨董の大量入荷によって、この古典的な骨董市場のスタイルが壊れつつあります。また、東南アジアなどでも、同様に開発の波が押し寄せ、中国同様に、大量の発掘物が骨董マーケットに参入するようになりました。21世紀に入ってから、ベトナム南部のホイアン沖で沈没船がいくつも発見され、無数の輸出用の陶磁器が引き揚げられたというトピックもあります。

③わたしのあるコレクター品の由来

わたしの蒐集品のなかに、ペルシャ陶器の色彩鉢があります。12~13世紀、イラン北部もしくはアフガニスタンでつくられた、直径20センチほどの色絵の軟陶です。長らく土中にあったため、全体的に色あせ、傷も多いのですが、鹿や馬などの動物や幾何学模様が描かれているのがはっきりとわかります。

ネットオークションで入手したものですが、わが収集品ながら、実に見事なものです。これが、10年ほど前に、わずか3万円ほどで入手できたのです。

1.戦争と貧困

この品が日本に流れてきた理由は、戦争と貧困です。北部アフガニスタン、あるいはイランの山岳民族が、国内の立ち入り禁止地区や、隣国の遺跡に越境して潜入し、大量に掘り出した陶器の一部であり、パキスタンからインド経由で、日本に輸入されたものでした。

2.現地の人びとは価値を知らない

アフガニスタンやイランには、現在でも、それこそ無数の遺物が転がっているのだそうです。しかし、本来であれば、これらは国外に流出してはならない文化遺産です。ですが、これらを掘り出した住民はその価値を知りません。わずかな食料と引き換えに売られたのでしょうか。

少なくとも、その歴史的価値を知るわたしとしては後ろめたい気持ちはありますが、せめて、日本のわたしの手元に置くことで、破損から守ることができるのだと。

そのように自分をいい聞かせ、ときどき取り出して飾っています。

店舗物件に強い不動産会社の特徴を解説

開業するための店舗を探す際に、どんな不動産会社に相談すればいいのか、迷っている起業者の方も多いと思います。
不動産業者といっても、仲介に強い会社、売買に強い会社、管理に強い会社など得意分野は様々で、さらに事務所物件に強い、住居物件に強い、店舗物件に強いといった色分けがあります。今回は店舗物件の仲介に強い不動産会社である「店舗専門の不動産業者」について解説します。

①店舗物件を探すことが難しいといわれている理由
1.店舗物件の情報は表面に出にくい
新築物件を除いて店舗物件の情報は、現在営業中の店舗が閉店を決意し、貸主に解約通知をすることで情報として流通し始めます。通常は6か月前です。
この時点では、まだ店は営業中であることがほとんどなので、情報をオープンにすると店の営業に大きく影響を及ぼす可能性があります。このような事情から、店舗物件情報は表面化しにくいのです。
2.扱っている業者が限定されている
また、店舗物件を扱いたがる業者の数がそもそも少ないという問題もあります。
店舗物件の仲介は、情報入手の困難さに比べて成約にいたるまでのタイムラグが長く、専門知識が必要です。業務上の観点から割りに合わないことが多く、一般的な不動産業者が手を出しづらい領域といわれています。
3.店舗物件の情報は分散している
店舗物件探しを始めると気付くのですが、必ずしも希望エリアの情報が地元の不動産業者にあるとは限らず、不動産業者以外の店舗関連の業者が物件情報をもっている場合もあります。
廃業する側に、地元の業者に知られたくないという事情もあるようです。
4.供給量よりも需要のほうが多い
店舗用途で使える物件の絶対量は多くはありません。店舗物件を探す人はどんどん増えてくるにも関わらず、供給数はそれほど変わらないため、常に物件不足状態が続いています。

②店舗物件はどんな不動産会社が扱っているのか

店舗物件を扱う不動産業者には以下の4つのタイプがあります。
1.大手不動産会社
大型ビルや娯楽施設、商業施設内の店舗物件を多く扱っています。いろいろな商業施設からラブコールがかかるような人気業態でなければ情報をもらうことは難しいでしょう。
2.賃貸専門の不動産チェーン
主なターゲットは賃貸住宅の仲介ですが、店舗物件の情報も一部あります。情報はチェーン店すべてで共有しています。
3.地域密着型の町の不動産屋
地域に古くからあるタイプの町の不動産屋です。エリア内の店舗情報を多くもっています。エリアの情報に詳しいので重宝します。
4.店舗専門業者
店舗物件を専門に扱う業者で、地域を限定せず広く物件を扱っています。店舗の業界事情に詳しく、独自のルートをもっている業者もあります。マンションの一室などに事務所を構え、フリーで活動している業者もあります。このような業者は数は多くありませんが、店舗物件を専門に扱っているだけあって、質量ともに充実しています。

③店舗情報に強い店舗専門業者の見分け方

店舗物件は通常の不動産賃貸とは異なり、設備や営業面の知識など特別な要件が入ってきます。専門分野の知識について、業者がどれぐらいの知見をもっているか、尋ねてみることである程度の力量がわかるのではないでしょうか。
店舗に強い業者かどうかを見分けるそのほかのポイントとしては以下のようなものがあります。参考にしていただきたいと思います。
1.不動産業者の免許番号に注目
実績のある業者かどうかは不動産宅建番号の数字をみればわかります。
たとえば「東京都(  )12345号」の場合、()の数字が(3)以上であれば10年以上不動産業を営業していることの証明になります。
2.管理物件の有無でも判断できる
その不動産業者を訪問したおりに事務所の備品などをそれとなくチェックしてみてください。事務所内にビル名の管理物件のファイルがたくさん並んでいる場合は、その業者は店舗物件を多く扱っていることをうかがうことができます。
3.地域の事情に通じているかどうか
業者との会話の中で、地域の店舗事情や、あらたに進出した店舗の経緯など、どこまで地域事情に通じているかを確認してみましょう。
4.居抜き物件の契約実績は多いかどうか
業者との会話の中で、居抜き物件の内部の造作や厨房施設などのエピソードがポンポン出てくるようであれば、この分野の経験や実績が多いと想像できます。優良な店舗物件は居抜き物件として市場に出てくることが多いのです。
表に出にくい居抜き物件の情報ルートをもっている業者であれば、店舗物件全般についても情報量が豊富だといえそうです。

④そのほかの物件探しの方法

1.ネット検索
店舗物件に特化した不動産サイトもあります。「居抜き物件サーチ!」では、内装業者や卸業者などの提携業者が多数あり、出店までの手続きや運営アドバイスの無料コンサルタント業務をやっているサイトもあります。
多くのサイトでは会員登録しておくことで新しい情報が入った場合にお知らせメールが届く仕組みになっています。なお、店舗物件は早い者勝ちなところがあるので、登録するだけでなく毎日こまめにチェックすることが大切です。
2.自分の足で探す
出店をイメージしている地域が先に決まっているのであれば、自分の足でその土地周辺を歩いてみてはどうでしょうか。実際に街並みや人通り、競合店の有無や繁盛の具合など、自分の足で歩いて見て、わかることがたくさんあるはずです。歩いている途中で、「テナント募集」の貼り紙を目にすることがあるかもしれません。
自分の足で歩いて見て回ることは、インターネット情報で知った物件や不動産会社からの紹介された物件であっても必ずやっておかなければいけないことです。

⑤会社設立・起業を考えている方へ
会社を設立するうえで欠かせないのが「登記手続き」と「創業資金や運転資金の準備」です。
会社登記は会社設立をする際に必須の手続きです。
自分で手続きをすることもできますが、かなりの手間や時間がかかります。
また、融資を受けて創業をする場合には、金融機関に提出するためのさまざまな資料を準備しなければなりません。
また、さまざまな助成金補助金制度についても、個人で申請をおこなうのはなかなか骨が折れるものです。
こんなときには専門家に手続きを依頼しましょう。
登記手続きや創業融資、助成金補助金の申し込みに費やす時間や労力は、ぜひこれからのビジネスの本業をスタートするために使っていただきたいのです。

⑥創業融資を受けるためには専門家を利用しよう
日本政策金融公庫で創業融資を利用する際には、行政書士のサポートを受けることをオススメします。
創業融資を受けるためには、創業計画書や事業計画書などを作成し、創業するビジネスがどのように成功していくかについて根拠をもって説明する必要があります。
創業計画書や事業計画書をどれだけしっかりと作成し、きちんと説明できるかという点が非常に重要です。
もちろん、ご自身で創業計画書・事業計画書を作成し、日本政策金融公庫の面談を受けることも可能ですが、融資成功の確率をしっかりと高め、融資を実行させるためには、融資の専門家に依頼するのが一番です。

不登校の子どもと「ひろゆき」氏

日本国憲法が定める3つの義務といえば、教育、労働、納税ですね。このうち義務教育について、誤解している人もいるのですが、義務を課されているのは国家ではなく、保護者です。親が子どもに義務教育を受けさせなければならないということが憲法で定められているのです。
しかし、現実的にはさまざまな事情により、不登校になってしまう子どもが一定数存在します。2022年のデータによれば、不登校の児童・生徒は、小学校で1.0%(全国で約6万人)、中学校で4.1%(約13万人)いるそうです。パーセンテージは高くないとはいえ、実数としては無視できるものではありません。

この不登校問題については様々な意見があります。ネット空間では「義務教育を受けさせるのは親の責任」といった常識的な意見がある反面、「ムリやり学校に行かせる必要はない」「本人の自由意志を尊重すべき」といった擁護派の意見も目立ちます。

ひろゆき氏の主張には一理ある
昨今注目を集めている「2ちゃんねる」の創始者ひろゆき氏は、子どもの不登校に関して、「学校に行かないことによって、子どもがどれだけ損をするか」を説いたり、子どもを不登校にさせてしまう親のレベル(≒所得)の低さを嗤うなど、その主張はおもに損得論に基づくものが多です。

わたし個人としては、かれのロジックについて、かならずしも同意しないものの、親が子どもに教育を受けさせる義務を果たすべきという結論については、100%同意できます。

②勉強が必要である単純な理由

受験勉強は、かならずしも生活にとって必需ではありませんが、義務教育には社会生活を営むためのエッセンスが込められています。たとえば「九九」が言えない人が世の中には一定数存在するのですが、このことによって社会生活を営むうえで不自由を被ることは少なからずあると思います。

簡単な計算ができなければ、買い物も上手にできません。「そんなの、店が計算してくれるから大丈夫」。…本当にそうでしょうか。
差し障りがあるので実名は出しませんが、ある女性アイドルは算数がまったくできないので、コンビニで買い物をする際にも、いつも1万円札を出すのだそうです。そのため、いつも財布が小銭でパンパンになってしまうので、見かねたマネージャーがときどき両替してあげているそうです。

これだけなら可愛らしいエピソードのように思えるかもしれませんが、将来彼女が家庭をもって、家計を任されたらどうなるんでしょうか。

行政書士のささやかなこだわり
個人的な話で恐縮ですが、わたしは500円玉貯金をしています。たとえば722円の買い物をしたときには、レジに1222円を出すことがあります。こちらの意図を察して、レジの人がすっと500円玉をくれることもあるのですが、「722円ですけど…」と少し困った顔をされることもあります。こういう人は、たぶん(1222-722)の計算ができないのでしょう。やっぱり、算数ができないと困ることがありますよね。
そのほか、世の中には時計の針を読めない人も存在するのですが、これではさすがに、生活するのに困るんじゃないでしょうか。このような生活の基礎となる知識を教えてくれるのが義務教育というものなんです。

ひろゆき氏に愛情はあるか

以前、ネットを賑わしていた「不登校系ユーチューバー」について、ひろゆき氏の意見は辛辣です。「学校なんか行かなくても、子どもを教育することはできる」と主張し、不登校を是とするユーチューバーの父親に向かって、ひろゆき氏は「中卒の親は高校の勉強を教えることはできない。ましてや大学レベルの勉強を教えることは絶対不可能」と一刀両断にします。これは反論しようがない真実です。

「インターネットを通じて、不登校を是とするレベルの低い人たちの共感を集めることは『バカな親を増やすだけ』。害悪以外のなにものでもない」。これも正論だと思います。でも、わたしは少しモヤモヤします。なぜなら、かれの主張には愛情が存在しないからです。
温かみのない主張には、それが正しいとしても、共感を得ることは難しいのではないでしょうか。もっとも、ひろゆき氏は件の父親の共感を得ようとか、説得しようとする考えはなさそうですが…。

ただ、わたしの懸念は、不登校系ユーチューバーに対するひろゆき氏の厳しい指摘(正論)が、それこそレベルの低い同調者によって、不登校児童全体に対するバッシングに繋がらなければいいな、という点だったりします(すでになっているような気もしますが…)。

プロ野球のドラフト会議は憲法違反か

世代的に、わたしはサッカーより野球のほうが好きです。春夏の高校野球は毎年楽しみにしていますし、わが地元中日ドラゴンズは、昨今低迷していますが、ずっと応援しています。

さて、最近はほとんど聞かれませんが、かつては、ドラフトの時期になると、この制度が日本国憲法22条が定める「職業選択の自由」に違反しているのではないかという議論を耳にした記憶があります。古くは江川卓投手が2回にわたって指名を拒否し、就職浪人までして、最終的にアクロバティックな方法で巨人に入団した「空白の一日」を思い出します。あれで江川投手は一気にヒール役になってしまいましたが、当時わたしは子どもながら、バッシングされる江川投手に同情的で、「どうしてもこの球団に行きたい!」という希望がある人にとって、就職先を自由に選べない状況は、さすがに気の毒だと思いました。

プロ野球選手になるためには、NPB(一般社団法人日本野球機構)が実施するドラフト制度を利用しなければなりません。このことをもって、「職業選択の自由」とともに「独占禁止法」に抵触するのではないかという議論が起きたこともありますが、法曹界の反応は冷ややかです。日本のプロ野球という興行コンテンツを魅力あるものにするために、戦力の均衡化を図る目的で行われる目的から、「著しく不合理とまではいえない」という見解が支配的なようです。

その後、ドラフト会議は、指名入札、ウェイバー方式、逆指名制度、自由獲得枠など、さまざまな方法が実施され、現在は一周まわって元の制度に戻っていますが、最近ではほとんど憲法違反議論を耳にしなくなりました。海外を含めたFA制度の拡充の効果もありますが、以前ほど特定の球団(たとえば巨人)に人気が集中しないという現状があるからではないかな、と思います。

ドラフトといえば、個人的に気になるのは、指名された選手の契約金にかかる税金問題です。日本の所得税法によれば、プロ野球選手の契約金は「臨時所得」です。この場合、通常であれば「累進課税」が適用されることになります。しかし、累進課税が適用されると税額がものすごく高くなってしまうので、重すぎる税負担を軽減するために、プロ野球選手の契約金には「平均課税」という方式が採用されています。

平均課税とは、ざっくりいうと、一度に受け取る契約金を5年間で分割して受け取ったとみなして算出する方法です。具体的にどれぐらいになるのか、気になりますよね。早速試算してみましょう。

契約金1億円で年俸が800万円の場合

累進課税の場合)

合計1億800万円の収入に対する所得税最高税率(45%)で計算されます。

所得税)4454万円

(平均課税の場合)

5年間の平均課税を適用すると、実際にはこのようになります。

所得税)3211万円

平均課税でもかなりの税額にはなりますが、ざっと1000万円以上違います。

プロ野球選手には基本的に退職金はないので、契約金は退職金の前払いと考えるべきでしょう。一般のサラリーマンであれば、退職後に受け取ったお金で、その後の人生設計を立てることができますが、20歳前後の特定のスポーツの世界しか知らない若者に、大金を渡していきなり退職後の人生設計を立てることを強要するというのは、なかなか厳しいものがあります。周囲の大人や親がしっかりしていないと、道を誤ることになりかねませんね。

もちろん、プロスポーツは実力の世界ですから、結果を残すことで年棒がどんどん上がるロマンはありますが、大半の選手は数年で廃業に追い込まれます。小心者の元サラリーマンとしては、契約金を引退後に受け取る仕組みをつくるなど、選手に選択の自由を与えてはどうかな、と考えてしまいます。

もっとも、こんな風に考えているわたしは、しょせんはサラリーマン思考の限界。「グラウンドに金が落ちている」と考えることができるアグレッシブさがなければ、プロ選手としては大成しないだろうな。